研究課題/領域番号 |
20K00671
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
児馬 修 立正大学, 人文科学研究所, 研究員 (10110595)
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研究分担者 |
内桶 真二 茨城女子短期大学, その他部局等, 教授 (10269285)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 派生接辞 / 生産性 / -able / ロマンス接辞 / ゲルマン接辞 |
研究実績の概要 |
本研究の初年(令和2年)度からコロナ禍の状況がほぼ3年にわたって続いたため、令和4年度も、①初期中英語 able の意味調査②ハイブリッドの調査③名詞語基と動詞語基の-able語の競合の調査④分析不能の-able 語の調査、のすべてにおいて大幅に遅れている。特に、国内出張の自粛が社会的にも、個人の健康状態の理由からも、求められていたため、研究協力者との協議や共同調査を行うことが難しく、上記のデータ調査自体が停滞している。 他方、形態論における最近の理論的研究の動向や、本研究のテーマと深くかかわるバイリンガルに関する言語心理学の実験研究の進展については、関連文献の渉猟を中心に行いながら、両分野から多くの知見を得ることができた。特に、前者については、Jackendoff(2020)の提唱するRelational Morphology がlexiconとphrase を同一のフォーマットでみるという、斬新な発想に触れられたことは本研究にとって大いなるインパクトであった。それは本研究の -ableも最終的な発達段階においては、lexiconだけでなくsyntax(-ableの屈折接辞的特徴)と関わるからである。 後者のバイリンガル研究については、第1言語(L1)と第2言語(L2)の語がそれぞれ異なる様式で脳内のレキシコンに収められ、アクセスされているという「階層モデルの改訂版(Kroll&Stewart 1990)」を実証する実験研究の成果が興味深く思われた。この点は、本研究のテーマであるフランス語からable, -ableの英語への編入と大きくかかわり、今後の調査事項の追加・修正にも影響する可能性がある。その意味では、心理言語学分野の知見が得られたこともコロナ渦中の大きな収穫であり、それの本研究への適用可能性を探ることも今後の課題のひとつである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由 この3年間は新型コロナ感染拡大の防止のため、研究分担者との対面による協議や調査の実施がすべて困難(不可能)であった。また、令和3年の7月より肺炎による入院と通院治療が現在もまだ継続しており、研究が長期にわたって停滞したため、研究期間の延長の申請を令和5年の1月に行った。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年5月より国のコロナ対策が大幅に緩和されたため、今後は研究協力者との対面による協議や研究調査も可能となった。ようやくにして、上記①-④のデータ調査の実施や、新たな研究分野の文献の渉猟から得られた知見などを考慮した今後の研究調査の見直しなどの実施も可能となった。とりあえず、今年度は基礎的なデータ調査について、ある程度の完成度を目指して取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染防止策や長期にわたる病気療養のため、予定されていていた(特に、すべての国内出張を含めた)研究・調査の実施が困難(不可能)であったため。
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