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2022 年度 実施状況報告書

英語の脱規範性・変則性を生み出す力を解明するためのフレイジオロジー的実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00673
研究機関関西学院大学

研究代表者

住吉 誠  関西学院大学, 経済学部, 教授 (10441106)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード脱規範性 / 変則性 / 関係副詞 / where
研究実績の概要

本年度の実績を、研究計画に記したデータの収集・分析と成果の公表の2つの点から述べる。
【データの収集・分析】ペーパーバック10冊を入念に読み込み、本研究課題の対象とする脱規範性・変則性を示す例を多数収集した。2022年度は、主に脱規範的冗長性と脱規範的省略を示す例を中心に収集し、併せてその他多数の脱規範的・変則的例を取りこぼすことのないように収集した。これらは研究初年度で整えたパソコン機器でデータベース化し、今後の研究に活かしていく予定である。分析については、2021年度からの持ち越しになっていた脱規範的関係詞の汎用的使用について分析を継続して行った。さらに、二重that節構造の示す脱規範性について、新たなデータと文献の知見を加えて分析し直し、論考としてまとめた。これについては2023年度に公刊予定である。脱規範性・変則性を示す新たなデータを分析し、脱規範的冗長性を示す of や、that節を取る動詞の増加傾向、前置詞が省略される脱規範的簡略化、新たな成句の出現などの現象を発掘し、脱規範性・変則性を生む力の解明を目指してこれらの分析を進めている。
【成果の公表】前年度よりデータを収集し継続的に研究を進めていた関係副詞 where の示す脱規範的汎用性の分析について論文を公刊した。本論文で、従来触れられることがあまりなかった関係副詞 where の多様な使用には、where が本来的に持っていた場所の意味の希薄化とそれに伴う汎用性の高まりが関係していることを指摘した。また、同様の内容について口頭発表を行った。さらに、脱規範性を示す二重 that 構造については論考としてまとめ、すでに原稿を提出済みである(2023年度中に公刊予定)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の進捗状況については、以下に示すようにデータの収集・分析については当初の想定以上に順調に進んでいる。一方で、研究成果の公表は、ここ数年のコロナ禍もあり予定よりも遅れた。しかし、2023年度は成果を予定通りに公刊し、また新たな論考の公刊の準備を整えており、研究課題全体としてはおおむね順調に進捗していると判断できる。
【データの収集・分析】当初の想定通りに脱規範性・変則性を示す実例を数多く収集してデータベース化しており、この点については全く問題ない。脱規範的冗長性を示す of、新たに構造を拡張させている動詞・形容詞など、本研究課題の遂行に必要なデータは十分に確保できている。また、研究代表者がこれまで公刊した内容をさらに深化させることのできる新たなデータも集積できており、研究資料の収集については滞りなく進んでいる。また、分析を行うための文献の渉猟、最新知見の収集も遅滞なく進んでいる。特に、従来あまり参照されることのなかった南欧や東欧の研究者の知見に触れ、本研究課題の分析の手助けとできていることは、当初の想定以上の進展と言える。
【成果の公表】本年度は、研究会での口頭発表と論文の公刊を予定通り終えた。特に口頭発表においては、英語語法文法研究の最前線にいる研究者から多くの助言をいただき、研究内容をさらに進展させるためのヒントを得ることができた。口頭発表により、本研究課題の最終年度に向けて研究内容の充実をはかる機会を持てたことは本年度の大きな成果のひとつであったと言える。公刊した論文は29ページにわたる大部なもので、前年度までのデータの収集・分析の結果を余すところなく盛り込んだものである。
以上のことから本研究課題はおおむね順調に進展していると判断するものである。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策について、データの収集・分析と成果の公刊の点から述べる。
【データの収集・分析】2023年度は、本研究課題最終年度となるため、データの収集・分析よりも成果の公刊に焦点を置く予定であるが、さらなる課題の発見のためにも、データの収集・分析は滞りなく進めて予定である。特に、データの収集をコーパスだけに頼るのではなく、ペーパーバックのデータをヒントにコーパスからデータを収集するという、「実例周りコーパス行き」の手法は、本研究課題の対象とする脱規範性・変則性を示す例の収集に効果をあげており、このまま継続していく。また、知見の収集、文献の渉猟はこれまで同様に進めていくが、特に英米の研究者のみならず、南欧や東欧の研究者の成果についても積極的に触れるようにし、本研究課題が広範な偏りない知見にもとづいたものになるように努めていく。
【成果の公刊】2023年度は本研究課題最終年度であるため、2022年度までにデータの分析が終了している脱規範的・変則的現象について成果を発表・公刊する。すでに二重that節構造について論考を提出済みであるが、脱規範的冗長性を示す of の例、脱規範的簡略化を示す例などについての分析について、論文の公刊を滞りなく進めていく予定である。また、本研究課題の4年間の総まとめとなる論考を準備中であり、早期の公刊を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

購入予定であった書籍が年度末までに納入されないことが判明し、発注をキャンセルしたため。次年度に当該書籍を発注し直す予定である。次年度分の助成金は、研究計画で示したように、書籍の購入や旅費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 関係副詞whereが示す脱規範的汎用性-英語における脱規範性・変則性を生む力についての一考察-2023

    • 著者名/発表者名
      住吉誠
    • 雑誌名

      エクス言語文化論集

      巻: 13 ページ: 147-176

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 関係副詞 where の脱規範的汎用性について2022

    • 著者名/発表者名
      住吉誠
    • 学会等名
      関西英語語法文法研究会第44回例会

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公開日: 2023-12-25  

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