研究課題/領域番号 |
20K00674
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
井上 亜依 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 准教授 (70441889)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フレイジオロジー / コーパス / イディオム変化 / 実証的研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、語結合の一種で「不変」と考えられてきたイディオムの変化の提示と、その変化の規則性をつまびらかにする「イディオムの不変から可変を明示する体系的研究」により、イディオム研究の発展に貢献することです。例えば、pull strings(コネを利用する)のように全体の意味が各語の意味を合わせた「糸を引く」とならず、各語が他の語に代用できない語結合(=イディオム)が、同じ意味のdraw stringsに変化する事象を指します。 この目的を達成するための具体的な研究内容は、次の3点です。①誰もが利用できる電子言語資料収集体(コーパス)を用いて、変化形イディオムの統語的・意味的・音声的特徴を調べ、「イディオムは変化する」ことを明らかにする。②①で扱った変化形イディオムが、イディオムかどうかをイディオム性(イディオムであるかどうかを判断する指標)を用いて明らかにする。③①と②で扱った様々な変化形イディオムの実態調査の結果より、イディオム変化の規則性を見出し、新しく観察される変化形イディオムの成立に学術的説明を与える。 2020年度は、不変と理解されてきたイディオムの変化を、電子言語資料収集体から得られたデータをもとに、量的・質的(統語的、意味的、音声的特徴)観点から捉えた。そして、その変化の規則を解明します。この研究成果を、国内外の学会や専門雑誌で発表・投稿を行うことで、世界中のイディオム研究者からアドバイスをもらい、研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、当初予定していた国際学会での発表が全てキャンセルとなり専門家たちとの活発な意見交換ができなかった。このため、イディオム変化の妥当性を検証することが難しく、当初の研究計画の変更を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に明らかにしたイディオム変化の規則性を提示し、これまで扱ったものとは異なるイディオムの変化の実態解明により、その規則性の適用可能性を検証します。その規則性が適用できない場合には、イディオムの研究対象を広げ検証します。そして、あらゆるイディオム変化に対応できる確固たる規則性を提示し、国内外の学会や専門雑誌で発表・投稿を行い、様々な意見やアドバイスを受けることにより議論を深めていきます。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、発表が採択されていた国際学会が全て開催中止となったことにより、計画していた使用額とは異なることになった。
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