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2022 年度 実施状況報告書

統語構造の線形化と音韻的解釈

研究課題

研究課題/領域番号 20K00677
研究機関中京大学

研究代表者

土橋 善仁  中京大学, 国際学部, 教授 (50374781)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード統語音韻インターフェイス / 線形化 / 最小探査 / 主要部パラメータ
研究実績の概要

近年の統語理論では、統語対象物(Syntactic Objects: SO)が適正に解釈されるようSOにラベル付けをするアルゴリズム(Labeling Algorithm)が主要な研究課題となっており、SOのインターフェイスでの解釈が理論の主導概念の1つになっている。本研究の目的は、音韻部門におけるSOの解釈に焦点をあて、第3要因(third factor)の原理である最小探査(Minimal Search)やゼロ探査(Zero Search)が音韻句やイントネーション句の形成に関与していることを示すことである。また、外在化(Externalization)の過程には線形化が不可欠であるとされるが、線形化には3種類あり、これらが適用される基本単位が韻律領域(韻律語、音韻句、イントネーション句)に対応していることを示し、韻律領域形成を線形化に還元することを目指している。
当該年度では、当初の計画では想定していなかった新たな線形化のメカニズムに関する着想を得た。これは、最小探査で見つかる要素(統語的な主要部)同士の左右隣接性が語順決定に関わっているというものである。従来は主要部パラメータと呼ばれるメカニズムにより、統語的主要部とその補部(句)の間の先行関係にもとづいて語順が記述されてきたが、新たな着想は、主要部と句ではなく、主要部と主要部を隣接させるか否かが決まると、結果として主要部と句の順序が決定されるというメカニズムである。これにより、各言語の主要部の形態的な具現方法が語順の決定に密接に関わっているという従来の言語類型論研究の観察を具体的な形で理論的に定式化できるようになる可能性が見えてきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

語、句、文レベルの線形化の包括的な研究を想定していたが、当該年度では新たな着想を得たことで語レベルの線形化のメカニズムを明確な形で示すことができるようになり、句や文のレベルの研究の基礎部分を構築することができた。

今後の研究の推進方策

新たに提案したメカニズムにもとづき、語レベルでの言語間の語順の差異を統語的主要部の形態的特性に基づき説明できるよう、多くの言語の形態と語順の関係を精査する。隣接する形態素間の韻律的特性も考慮する。その上で、句や文レベルの韻律的な振る舞いとの関係にも着目する。

次年度使用額が生じた理由

社会状況により国内外の出張ができなかたったため、旅費の支出がなかった。翌年度は出張が可能となるため、旅費として使用する予定である。書籍の購入なども計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Head Parameter and Externalization: A Preliminary Study2022

    • 著者名/発表者名
      Dobashi, Yoshihito
    • 雑誌名

      Phonological Externalization

      巻: 7 ページ: 51-57

  • [学会発表] An Interface Approach to Strong/Weak Distinction in Syntax2023

    • 著者名/発表者名
      Dobashi, Yoshihito
    • 学会等名
      The 13th Workshop on Phonological Externalization of Morphosyntactic Structure

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公開日: 2023-12-25  

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