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2020 年度 実施状況報告書

総称文研究における認知能力に基づいた枠組みの検証

研究課題

研究課題/領域番号 20K00681
研究機関山口大学

研究代表者

岩部 浩三  山口大学, 人文学部, 教授 (90176561)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード総称文 / ヘブル語 / 代名詞的コピュラ
研究実績の概要

総称文の多様性は,英語・フランス語・ドイツ語等の言語では、典型的に冠詞と単数・複数の違いとして現われる。しかし,冠詞や単複を表示しない言語でその多様性がどのように表現されるかが本研究における主要な関心事項である。例えば日本語においては,「犬(というもの)は4本脚である」「空は青い(ものだ)」のように,「というもの」「ものだ」が英語の不定単数形に対応するとの仮定に基づいて研究を進めてきたが,Greenberg(1998、2002)の観察から,ヘブル語における代名詞的コピュラ(Pronominal Copula)の分布が日本語の「というもの」「ものだ」と重なっているという着想を得た。
Greenbergは,ヘブル語には総称専用の言語形式があり,それが代名詞的コピュラであると主張している。コピュラとは英語のbe動詞に相当するものの総称であるが,ヘブル語においても過去形や未来形では動詞として現われるのに対し,現在形ではコピュラが省略されるか代名詞的コピュラとして生じる。そして,代名詞的コピュラが生じるのは文が総称的な解釈を受ける時である,と主張しているのである。
私は,従来の総称文研究から一般に受け入れられている「総称専用の言語形式はない」という仮定を維持している。また,現在検証中の総称文分析の枠組みから,代名詞的コピュラの生起は総称文の一部とのみ関係しているのではないか,と推測している。この点でGreenbergとは部分的に見解の相違があり,さらに検証をすすめる必要がある。なお現時点での研究成果は,筑波英語学会(令和2年11月28日オンライン開催)において口頭発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

必要な書籍や論文を入手することはできており,資料に基づく研究は順調に進展している。新型コロナウイルスにより研究会や学会における研究発表の機会がかなり限られたが,一部はオンラインで実施されており,今後も大きな障害にはならないと思われる。

今後の研究の推進方策

諸言語における総称文の多様性を幅広く観察していきたい。特に冠詞を持たない言語としてロシア語やウクライナ語等も興味深いが,総称文では用例についてかなり繊細な判断が必要であるため,単に母語話者であるというだけでは直接聞いてみてもなかなか有意義な結果が得られにくい。実際,ウクライナ語話者からはあまり有意なデータがえられなかった。ヘブル語におけるGreenbergのように,母語話者であるだけでなく言語学者としても優れている人が総称文について研究している例は貴重である。他言語において同様の資料はなかなか得られにくいが,従来通りできる限り広い視野で書籍・論文を収集し,それを元に研究を推進するという方策をとりたい。

次年度使用額が生じた理由

学会がオンライン開催となり,予定していた旅費は執行実績がなかった。書籍購入費の不足分に当て,ほとんど執行できたがわずかな残額が出た。残額1862円は,次年度の物品費と合わせて使用し,図書購入にあてる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 総称文の多様性と認知能力の複合性--英語から他言語へ2020

    • 著者名/発表者名
      岩部 浩三
    • 学会等名
      筑波英語学会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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