研究課題/領域番号 |
20K00689
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
入学 直哉 福井工業大学, 工学部, 教授 (50597937)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動詞clear / 前置詞 / 所格交替 / 項構造 / 英語史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はclearに代表される除去動詞(verbs of removal)の所格交替(locative alternation)に関して、動詞と前置詞句との共起関係の変遷を通時的に考察すること及び非交替動詞が交替するような例外的現象を分析することにより、従来構文研究においてあまり関心が払われてこなかった周辺的な事象に焦点をあてることにある。 本年度は動詞clearを取り上げ、Henry cleared dishes from the table/Henry cleared the table of dishesのような所格交替に関して、動詞clearと前置詞from/ofとの共起関係が英語史においてどのような過程を経て成立したのかを考察した。まず動詞clearが前置詞from/ofと共起する用例をEEBO (Early English Books Online)とCOHA (The Corpus of Historical American English)から収集し、収集したデータを動詞の補部構造のパターンにより6つのタイプに分類した。そして収集したデータをEEBOは1500年から1690年までの期間を50年区切りで四期に分け、COHAは1820年から2010年までの期間を同じく50年区切りで四期に分けて、それぞれ6つのタイプごとに用例数を集計し、初期近代英語期から現代英語期にかけての各タイプごとの使用の変遷を明らかにした。特に初期近代英語期においては、from前置詞構文、of前置詞構文ともに、古英語の除去・奪取動詞の構造を受け継いだ統語形式が優勢であったが、その形式は後期近代英語期以降徐々に衰退して行った。とりわけfrom前置詞構文に関しては初期近代英語期以降隆盛であった形式が現代英語においては完全に消失したことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は所格交替を行う除去動詞clear、clean、drain、emptyについて史的コーパスを用いてデータを収集し、分析する予定であったが、clearのデータ収集・分析に多くの時間と労力を要したため、他の3つの動詞については扱うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の課題として積み残しになっているclean、drain、emptyのデータ収集と分析を進める。また例外事象と見なされるfromと共起するrobの用例に関してもデータの収集を行い、その実態の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響により、参加予定の学会はすべてオンライン形式での開催が続いているため旅費を使用する機会がなかった。2022年度は一部の学会が対面形式で行われることも予定されているので、その際の旅費として使用する。また必要な書籍購入の費用に充てる予定である。
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