研究課題/領域番号 |
20K00689
|
研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
入学 直哉 福井工業大学, 工学部, 教授 (50597937)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 除去動詞 / 前置詞 / 英語史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はclearに代表される除去動詞(verbs of removal)の所格交替(locative alternation)に関して、動詞と前置詞句との共起関係の変遷を通時的に考察すること及び非交替動詞が交替するような例外的現象を分析することにより、従来構文研究においてあまり関心が払われてこなかった周辺的な事象に焦点を当てることにある。 当該年度は動詞cleanと前置詞from/ofとの共起関係の史的変遷について調査を行った。cleanは語源的にはゲルマン祖語に遡ることができるため、古英語にも存在したが、古英語cleanは形容詞用法と副詞用法のみであり、動詞用法が登場するのは15世紀以降である。よって、EEBO(Early English Books Online)とCOHA(The Corpus of Historical American English)を用いて動詞cleanが前置詞from/ofと共起する用例を収集し、動詞の補部構造のパターンにより4つのタイプに分類した。そして収集したデータをEEBOは1500年から1699年までの期間を50年区切りで四期に分け、COHAは1820年から2019年までの期間を同じく50年区切りで四期に分け、それぞれ4つのタイプごとに用例数を集計し、初期近代英語期から現代英語期にかけての各タイプごとの使用の変遷を明らかにした。集計結果を前年度に調査を行った動詞clearの補部構造の発達と比較した結果、歴史的にclearのプロトタイプ的構造がcleanにおいてはほとんど発達しなかったことが明らかとなった。またこれに関してはcleanとcleanseとの意味競合の歴史が関わっている可能性について調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナの影響により、令和4年度も引き続き担当する学部の授業はすべてオンライン授業となったため授業準備にかなりの負荷がかかった。そのため計画していたデータの収集と分析が十分に行えなかったことから「遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は令和4年度に予定をしていて積み残しとなっている課題について研究を進める。まず排出動詞drainとemptyに関してコーパスを用いて史的データを収集し調査を行う。また動詞robがfrom前置詞構文に生じる用例を史的コーパスにより収集し、本来、非構造的である「NP1 rob NP2 from NP3」構文の分析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により参加を予定していた学会が対面での開催が延期となり旅費の支出がなかったため、次年度使用額が発生した。令和5年度は学会の対面開催が予定されているため、旅費に支出を計上する予定である。
|