研究課題/領域番号 |
20K00691
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岩田 彩志 関西大学, 文学部, 教授 (50232682)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | way構文 / 項構造 / 構文文法 / 語彙・構文アプローチ / force dynamics |
研究実績の概要 |
BNCでway構文の例を検索して、この構文に生じる例をほぼ網羅的に集めた。頻度が高い上位10の動詞は以下の通りである。make(1671例)、find(962例)、work(427例)、force(202例)、push(183例)、pick(173例)、fight(148例)、feel(117例)、pay(92例)、wind(88例)。 これらの動詞はway構文との整合性が高いと考えられるが、その中で特に目を引いたのがforce・push・fightの3つの動詞である。いずれもHe fought/pushed/forced his way through the crowdのような文に生じて、「(群衆等を)押しのけながら進む」という意味を表し、先行研究における「外的困難にもかかわらず移動する」(Goldberg 1995)といういわゆる「手段」タイプの特徴付けともピタリと合う。 以上の理由から、fight/push/force one’s wayはway構文のいわゆる「手段」タイプのプロトタイプ的表現と考えられるが、これらのway構文の例にはTalmy (2000)のforce dynamic理論を用いた分析が、うまく当てはまる。移動者がAgonist、群衆がAntagonistと考えられ、「移動者が群衆を押しのけながら進む」ことは、AgonistがforceによりAntagonistを取り除いて、進行を可能にしながら進んでいることに他ならない。 そしてこのforce dynamic分析は、forceが物理的でなくてもあてはまる。やはり上位に入っているpayは、He paid his way through collegeのようなway表現に生じる。様々な経費を払わないと大学に通えない。そこでお金を払うことが、大学生活を送る上での障害を取り除いていると分析できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、3つのコーパスからway構文の実例を可能な限り多く収集して、それに基づいてforce dynamic分析を当てはめることを考えている。そのため、1年目はもっぱらデータの収集に終わることが予想されたが、やはりこの作業がまだ途中である。3つのコーパスの中で最も規模が小さいBNCは、一通りデータの収集が終わったが、残りの2つのコーパス(WordbankとCorpus of Contemporary American English)では予想以上にway構文の実例数が多く、まだしばらく時間がかかる。 しかしBNCのデータに考察を加えた結果、いわゆる「手段」タイプway構文にforce dynamic分析を当てはめることが妥当であることを実証的に示すことが出来た。この点では、当初の計画通りに順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、Wordbanksからのデータ収集を進め、さらに可能な限りCorpus of Contemporary American Englishからのデータ収集も行いたい。そうして、BNCのデータを基にした1年目の分析が妥当であるかを検証する。頻度の高い動詞は概ね同じものになることが予想されるが、コーパス毎にある程度の違いが出るかもしれないので、そのような差異に注意して、force dynamic分析をさらに補強していく。 またBNCで高頻度に生じる他の動詞に対して、force dynamic分析が妥当かどうかを探る。具体的には、find・pick・feelではforceにより障害物を取り除いているという分析が難しそうである。これらの動詞はどのように分析すればよいのかを、force dynamic分析とも広い意味で整合するように、考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初はベルギーで開催予定の国際学会に出席して研究発表を行う予定であったが、コロナ禍により延期となってしまった。そのために出張旅費として計上した分が、そっくり残ってしまった。 現在の世界の状況を考えると、今年度もこの学会の開催は難しそうである。主に関連図書の購入や、パソコン関連機器の充実、さらに論文の校閲などで予算を使用していく予定である。
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