本研究は、英語史における三人称代名詞Itを含む評言節を文法化・主観化の観点から考察した。中英語期における三人称人称代名詞Itを含む用例を調査した結果、まだ補文標識thatが脱落しておらず、It+動詞+that 節の形式が多くみられた。しかし、初期近代英語期に入ると、補文標識thatなしで、使われる例が多く見られるようになり、文頭だけでなく、文中や文末にも置かれるようになり挿入的な用法も見られた。その後、主語Itの脱落や補文標識thatの脱落が見られ、文法化・主観化が見られることを明らかにすることができた。
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