研究課題/領域番号 |
20K00694
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小山 宣子 弘前大学, 国際連携本部, 准教授 (10234494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 技能実習生 / 特定技能 / 動画教材 |
研究実績の概要 |
研究開始から、以下の調査を行い、人数が少ないため一般化は難しいが、以下4点が示唆された。 ①農業における特定技能ビザを保持して農協で働く市内の20代大卒女性4名に遠隔でオンライン日本語授業を約1ヶ月行った。ここからわかったことは、(1)これらの特定技能ビザ保持者は、Facebookや様々なメディアを利用して、自ら学習を進める能力を持つこと。(2)方言もある程度認知していること。(3)特定技能ビザ保持者は、他の技能実習生の通訳的な役割を求められており、N3に合格した者も、日本語能力が不十分であると考えていること等がわかった。また、ここでは、プライバシーを尊重してグループ学習を好まない学習者もいた。これらの労働者は、日本語能力試験の問題集を主な教材として用いていた。 ②建設分野の技能実習生8名に対して、自治体と地方私立大学主導で行われた教室形式での日本語授業に参加しアンケートなどを行った。ここでの調査からわかったことは、(1)会話を学びたいという希望があるが、聴解や発話に関しては、参加者間で技能のばらつきが大きい (2)作文を学びたいという希望は見られないが、読み書きに関しては、比較的均質な能力を有するという2点である。また、この時の実習生の勤務先は、対面のクラスを重視する一方、異性が同席する教室は望ましくないと考えていた。このように、実習生の労働環境では、渡日前教育や渡日後教育機関とも異なる教育場面に関する価値観が存在する可能性が示唆された。 ③以上のことから、新しい動画教材を作成する場合、コンテンツは会話をテーマにしたものにし、提示する言語材料としては、音声のみではなく、文字情報も利用した方が利用者のニーズに合致する可能性がある。 ④YouTubeに関しては、ポッドキャストなど他のオンラインメディアに比較して、高い認知度があることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れた理由としては、新型コロナの影響により遠隔教育となったため、通常業務である大学での留学生に対する日本語教育の準備時間が増加したこと、また、教育対象が海外学生に及ぶ等、教育対象が変化したこと等が挙げられる。 予定していた海外調査や国内調査もできず、調査は県内、また、海外もオンラインでのチャットやメールにとどまった。しかし、もともと青森県内の技能実習生を想定した教材開発であるため、その影響は根本的なものではなく、時間的遅れにとどまったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、主にビデオ教材を試作・試用し、限定公開による学習者と教師双方からのフィードバックを何度か繰り返し学会で成果発表を行う。 ビデオ教材作成でモニターから一定の評価が得られたものを公開し、各所に宣伝し視聴を促し、調査者もこれを利用したオンライン教育を継続する。その上でフィードバックを分析し、学会で成果発表。これを繰り返し、教材の内容や提示方法を改善していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で、予定していた海外調査や国内調査ができなかったため。 今後の使用計画は、引き続き、技能実習生対象の調査(謝金など)と、ビデオ教材作成のためのサービス(画像素材提供サービス、音声素材提供サービス)や機材、ソフトウェア等に使用したい。
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