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2023 年度 実施状況報告書

日本語教師の越境的学習の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00708
研究機関早稲田大学

研究代表者

舘岡 洋子  早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (10338759)

研究分担者 金 孝卿  麗澤大学, 国際学部, 教授 (30467063)
池田 玲子  昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (70313393)
近藤 彩  昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (90377135)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード日本語教師 / 越境的学習 / 教師教育 / 日本語教師の専門性 / 三位一体ワークショップ
研究実績の概要

本研究は、日本語教師が他分野へと越境し学んでいるプロセスを「越境的学習」ととらえ、その実態とメカニズムを明らかにし、日本語教師の専門性を考察し、今後の越境的な活動を拡大していくための示唆を得るとともに教師研修に生かしていくことを目的としている。2023年度には、大きく3つの成果をあげることができた。
第1に、現職日本語教師を対象に三位一体ワークショップを実施し、対話によって内省を促す場をつくった。2023年8月18日に「あなたが目指す日本語教育ー実践現場からアクションプランを考えようー」と題して、一般社団法人全国日本語学校連合会(JaLSA)の加盟日本語学校の現職教師を対象に対面にてワークショップを実施した。10月14日から4回にわたり、「日本語教師」の専門性とキャリアについて考える」というワークショップをオンラインにて実施した。2024年2月17日には、大阪YMCA日本語教育センター3周年記念セミナーにおいて、「日本語教師の専門性を考えるための三位一体ワークショップ-自分の軸を見失わないために」をオンラインで実施した。
第2にコロナ禍も下火になり、海外での発表や講演も行うことができた。2023年9月1日に「日本語教師の専門性を考える―理念・フィールド・方法をつなぐもの―」として、オックスフォード大学にて開催の英国日本語教育学会(Batj)第25回年次大会にて基調講演を行った。翌9月2日には、「日本語教育をとおして実現したいものー専門性の三位一体モデルからー」として、ワークショップを行った。2024年3月9日には、タイ国カセサート大学にて開催の第1回タイ国日本語教育国際シンポジウムにおいて、「新人日本語教師の「理想の教師像」の変容―「専門性の三位一体モデル」による考察―」を発表した。
第3に、日本語教師のキャリアに関する論考を2本(単著と共著)まとめることができた

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本科研の開始と同時に書籍化プロジェクトが最終段階に入り、2021年度には『日本語教師の専門性を考える』(ココ出版)が出版された。その後、当該書籍のコンセプトおよびそこで提案された「専門性の三位一体モデル」を用いて、2022年度および2023年度は「三位一体ワークショップ」という名称で国内外において日本語教師たちに自身の専門性について考え、社会とのつながりを意識し、また日本語教師の周辺の仕事への越境を考えるような多様な場を設定してきた。
2022年度に「キャリア・バージョン」と「社会バージョン」の2つのバージョンを開発したので、それをふまえ2022年度からさらに対面の機会を増やして、2023年度は講演、ワークショップを行った。「研究実績の概要」に述べたとおり、2023年度は第1に現職日本語教師を対象に、内省を深める場をもつことができたことがひとつの大きな成果である。本ワークショップはもともと養成段階よりは初任あるいは中堅を想定して開発されたものであり、現場の課題を可視化し、自身の教育理念を明確化するためのものである。現職者にとっては日々の当たり前を振り返る機会になったと思われる。
第2に海外に出かけられるようになり、英国の学会で講演とワークショップを実施し、タイで口頭発表を行った。ワークショップに関しては、オンラインと対面と両方のノウハウが蓄積されたきたので、今後はニーズに合わせ目標と照らしながら、選択していく予定である。
第3に日本語教師のキャリアに関する論文をまとめることができた。日本語教育が激動の現代において、この時点でのキャリアとしての日本語教師をまとめておくことは必要なことだと考える。今後、環境が変化していく中で、越境のテーマと合わせてずっと日本語教師のキャリアを追っていきたい。

今後の研究の推進方策

「三位一体ワークショップ」も対面とオンラインで経験を重ねてきて、改善がなされてきている。今後は、視点をさらに社会に広げつつ、越境という観点も持ちながら個人の内省を深めていけるような場をつくっていきたい。ひきつづき、越境者への調査としてのインタビューも進めていく予定である。
研究会では、いくつかのテーマに分かれて、研究活動を続けていく予定である。テーマとしては、①研究調査(文献調査、データ分析調査など)、②勉強会(ファシリテーション、キャリアなど)、③ワークショップの実施(キャリアバージョン、社会バージョン、ケースで深めるバージョン等)などが想定される。

次年度使用額が生じた理由

世界中での感染症拡大の中で移動が制限され、海外調査が中止になったことが主な原因である。また、国内でも調査およびワークショップがオンライン化されたために移動の出費がなかった。次年度はワークショップの対面開催を増やしていく予定である。

  • 研究成果

    (33件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 19件、 招待講演 22件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Creating Together”: “Language Classroom” to Create “Future Society2023

    • 著者名/発表者名
      Tateoka Yoko
    • 雑誌名

      The Korean Journal of Japanese Education

      巻: 62 ページ: 7~16

    • DOI

      10.21808/kjje.62.01

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 【特集】キャリア形成支援と日本語教育_キャリアとしての日本語教師―多様な働き方におけるキャリア自律の必要性2023

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 雑誌名

      早稲田日本語教育学

      巻: 34 ページ: 59-70

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【特集】キャリア形成支援と日本語教育_「日本語教師の専門性とキャリアについて考えるワークショップ」の実践―ウチの見直しとソトへの拡張2023

    • 著者名/発表者名
      藤原恵美・竹内雪乃・舘岡洋子
    • 雑誌名

      早稲田日本語教育学

      巻: 34 ページ: 71-82

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【特集】キャリア形成支援と日本語教育_ケース学習における文化間衝突と問題解決への意識化 -日本語学習者のキャリア形成支援の観点からの一考察-2023

    • 著者名/発表者名
      金孝卿
    • 雑誌名

      早稲田日本語教育学

      巻: 34 ページ: 27-37

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本語教育の協働学習(ピア・ラーニング) 教室という社会での学び合い2023

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 雑誌名

      日本語学

      巻: 42(3) ページ: 72-82

  • [学会発表] 新人日本語教師の「理想の教師像」の変容―「専門性の三位一体モデル」による考察―2024

    • 著者名/発表者名
      桒田晶・舘岡洋子
    • 学会等名
      第1回タイ国日本語教育国際シンポジウム@カセサート大学人文学部
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本語教師の専門性を考えるための三位一体ワークショップ ー自分の軸を見失わないためにー2024

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子・NKS研究会
    • 学会等名
      大阪YMCA日本語教育センター3周年記念セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] これからの日本語教師の専門性を考える2024

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 学会等名
      日本語教育学会社会啓発委員会制作2023年度NKG-TV シリーズ
    • 招待講演
  • [学会発表] ダイバーシティ環境におけるビジネスコミュニケーション2024

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      国際シンポジウム「日本語の教育・研究:VUCA時代におけるビジネス日本語人材育成」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「日本語教師」の専門性とキャリアについて考える2023

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子・藤原恵美・竹内雪乃
    • 学会等名
      早稲田大学大学院日本語教育研究科 日本語教育実践ワークショップ
  • [学会発表] 日本語教師の専門性を考える―理念・フィールド・方法をつなぐもの―2023

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 学会等名
      英国日本語教育学会(Batj)第25回年次大会 基調講演
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日本語教育をとおして実現したいものー専門性の三位一体モデルからー2023

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子
    • 学会等名
      英国日本語教育学会(Batj)第25回年次大会 ワークショップ
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] あなたが目指す日本語教育ー実践現場からアクションプランを考えようー2023

    • 著者名/発表者名
      舘岡洋子・NKS研究会研究会
    • 学会等名
      一般社団法人全国日本語学校連合会(JaLSA)教員研修
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本語教育の協働学習(ピア・ラーニング) 多様な実践への応用の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 学会等名
      東呉大学特別講演
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ピア・ラーニング再考2023

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 学会等名
      アカデミックジャパニーズ研究会 定例研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 協働学習による国際共修の可能性  価値創造、内なる国際化、多様性の観点から2023

    • 著者名/発表者名
      池田玲子
    • 学会等名
      韓国日語教育学会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 協働学習に基づく日本語コミュニケーション教育ーその理論と実践のひろがりー2023

    • 著者名/発表者名
      金孝卿
    • 学会等名
      韓日研創立20周年記念「全国日本語授業研究発表大会 in 大阪」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ケース学習入門研修2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩・金孝卿
    • 学会等名
      欧州ケース学習研究会 セミナー 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 異文化環境で働くことを議論するケース学習ワークショップ  -日本・韓国・マレーシアの若者がつながる国際共修実践-2023

    • 著者名/発表者名
      金孝卿・木村かおり・金義泳・古賀万紀子
    • 学会等名
      韓國日語敎育學會
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ティーチング・ポートフォリオ作成体験-ベトナムにおける対話型教師研修を目指して-2023

    • 著者名/発表者名
      金 孝卿・池田 玲子・山田 真知子・ホー・ダン・ミー・アン、グエン・ティー・クイン・ニュー
    • 学会等名
      フエ国際セミナー2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日系企業で働くベトナム人女性就労者のキャリア意識2023

    • 著者名/発表者名
      山田 真知子・金 孝卿
    • 学会等名
      フエ国際セミナー2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日中両言語によるピア・レスポンスが 第2 作文に与える影響―学習者の日本語レベルと作文課題の難易度からの考察2023

    • 著者名/発表者名
      キョウ雪・金孝卿
    • 学会等名
      フエ国際セミナー2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日本におけるノンネイティブ日本語教師の役割2023

    • 著者名/発表者名
      郭旭丹・近藤彩
    • 学会等名
      第19回協働実践研究
  • [学会発表] ビジネス日本語教育における日本語人材の育成 ―教師研修と学習リソースの面から―2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      国際シンポジウム「日本語の教育・研究:VUCA時代におけるビジネス日本語人材育成」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 就労者を対象とした日本語学習教材の配信・支援システム(SJ-NET)の構築―就労現場における継続的な学習環境の確立を目指して―2023

    • 著者名/発表者名
      品田潤子・近藤彩・加藤淳
    • 学会等名
      フエ国際セミナー2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ケース学習で学ぶビジネスコミュニケーション2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      令和5年度 第3回日本語教育研修会(台南)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ケース学習で学ぶビジネスコミュニケーション2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      令和5年度 第3回日本語教育研修会(高雄)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 就労現場における異文化受容・異文化適応2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      令和5年度 文化庁委託 現職日本語教師研修プログラム普及事業 就労者に対する日本語教師【初任】研修
    • 招待講演
  • [学会発表] ケース学習と異文化理解2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      欧州ケース学習研究会セミナー2023 (国際交流基金・日本語教師会(AJE)助成)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] VUCA時代におけるビジネス日本語人材育成2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩
    • 学会等名
      日越外交関係樹立50周年記念事業「日本語の教育・研究:VUCA時代におけるビジネス日本語人材育成」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 企業とつながる、企業とつくる日本語学習2023

    • 著者名/発表者名
      近藤彩・栗原由加・倉本文子・LE THI HONG VAN (レー・ティー・ホン・ヴァン)・HOANG THI LAN NHI(ホアン・ティー・ラン・ニー)・NGUYEN THI HUONG TRA(グエン・ティー・フオン・チャー)・戸崎典子
    • 学会等名
      フエ国際セミナー2023
    • 国際学会
  • [備考] 舘岡洋子研究室

    • URL

      https://gsjal.jp/tateoka/

  • [備考] NKS研究会

    • URL

      https://nihongokyoshi-senmonsei.com/?page_id=92

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公開日: 2024-12-25  

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