研究課題/領域番号 |
20K00709
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福島 青史 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (90823724)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 海外の日本語教育 / 言語政策 / 日本語教育推進法 / 複言語主義 / オンライン |
研究実績の概要 |
本研究は「海外」を「外国人労働者」の供給地ではなく、「共に生きる人=市民」育成の場とするための「海外の日本語教育」の理念と方法を開発するものである。従来の「海外/日本」「日本人/外国人」「日本語/外国語」といった二項対立的なパラダイムを脱し、海を渡る人を一つの生(ライフ)を持った個人と捉え、海外の日本語教育の政策課題と言語教育課題を、言語政策、移民政策、シティズンシップ教育の文脈から提案する。また、日本語教育の推進に関する法律(「日本語教育推進法」)が成立したことを受け、海外の日本語教育実践者の視点から、海外の日本語教育の意義と必要性について日本へ提言を行う。この認識を下に、本研究は以下の課題に応える。 ①海外と日本を連続体とみなし、「海外の日本語教育」を言語政策、移民政策、シティズンシップ教育の観点から捉えなす理論的フレームワークの開発【政策理論課題】 ②複言語教育としての日本語教育の意義と方法の開発【言語教育課題】 課題①は、文献研究、研究会・学会での発表、論文執筆により理論構築を行う。課題②は、国内においては、現在、「「日本語教育の参照枠」の補遺版検討に関するワーキンググループ」の協力者として活動をしており、日本の日本語教育政策の文書に反映していく。海外においては、2022年度は、ボスニア、タイ、ベトナム、アルゼンチンの日本語教育機関と共同で、オンラインによる教育実践、交流活動を行っている。 在留外国人が増加する現在、日本において日本語教育の整備が急速に行われている。本研究は、理論研究のみならず同理論を実際の現場に応用するものであり、喫緊の課題に対応するものである。また、日本のみならず海外の機関と協働することで、移動する個人に即したものである点でユニークであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響により、2021年度から、全面的にオンラインによる実践の可能性に切り替え、2022年度も引き続きオンラインによる海外との実践を行った。 上記、課題①については、2020年度から2022年度までに、口頭発表7回、著書分担執筆2本、論文3本などの成果があった。課題②は、大学の授業の一部を実践の場として設定し、ボスニア、アルゼンチン、タイ、ベトナム等とでオンラインによる交流会を、各機関毎年8回ずつ、計32回(3年で約100回)実施した
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今後の研究の推進方策 |
2021-22年度は、コロナの影響で完全にオンラインによる活動を行っていたが、2023年度は一部、対面が可能となった。今年度は最終年度であるため、これまでオンラインで交流していた海外の機関と対面で活動をし、本プロジェクトの総括とし、今後の研究、実践活動につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度よりコロナ感染症の影響のため、計画されていた海外の活動が実施できなかった。このため、代替的措置としてオンラインでの研究活動を行ったが、2022年度後半より移動が緩和されたため、2023年度は、これまでのオンラインでの実績を活かす形で、対面の活動も行っていく。
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