本研究は「海外」を「外国人労働者」の供給地ではなく、「共に生きる人=市民」育成の場とするための「海外の日本語教育」の理念と方法を開発した。従来の「海外/日本」「日本人/外国人」「日本語/外国語」といった二項対立的なパラダイムを脱し、海を渡る人を一つの生(ライフ)を持った個人と捉え、海外の日本語教育の政策課題と言語教育課題を、言語政策、移民政策、シティズンシップ教育の文脈から提案した。近年外国人が増加する日本社会において、日本語教育実践者の視点から理論および方法論が構築できたことには社会的にも学術的にも意義があると考える。
|