研究課題/領域番号 |
20K00714
|
研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
西郷 英樹 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20388482)
|
研究分担者 |
清水 崇文 上智大学, 言語教育研究センター, 教授 (70365675)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 日本語教育 / 会話コーパス / 談話 / 教材開発 / 終助詞 |
研究実績の概要 |
①初年度に行った日本語母語話者同士の雑談の分析から時間が経過したため、再度分析を行い、その一部を研究代表者が勤務する大学の留学生別科が発行する紀要に発表した。②非日本語母語話者が母語話者との雑談でどのように共通基盤を構築しているのかを調査するため、研究分担者とともにBTSJ日本語自然会話コーパスに収録されている10の会話データを分析している最中である。③研究代表者が勤務する大学の留学生別科では、欧米諸国の大学からの短期交換留学生を対象に、日本語教育を提供している。2022年春学期(2022年1月~5月)には、新たに学習者の雑談力向上を目的としたコース(正式名称:「Japanese Small Talk Skills for Better Social Relationship」、以下、「雑談コース」)を開講(90分×全30回をオンラインで実施)し、研究代表者が担当した。履修者は、米国14名、メキシコ1名、フィンランド1名、エクアドル1名、オーストラリア2名の、合計19名であった。毎回の授業では、まず「雑談に役立つことば」、そして「雑談に役立つテクニック」を導入・練習し、その後にZOOMのブレークアウト機能を用いて2~3名で、与えられた場面に適切な雑談を作ってもらった。最後に、各グループが作成した雑談をクラス全体で発表した。なお、「雑談に役立つテクニック」の3回分で、初年度の分析結果からの知見を活かした共通基盤に関するテクニックを扱った。④研究代表者と分担者が共同執筆している「雑談」シリーズ(凡人社発行)の3冊目として、『日本語雑談マスター[黄]』を出版した。本書内の「雑談の秘訣」の12回中5回分で本研究課題である共通基盤構築のテクニックを扱った(「次に話すことの前提を作る①~⑤」)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者は、勤務校日本語プログラムのプレースメントテスト作業の中心的な役割を担っている。新型コロナウイルス感染症の拡大により、2022年度の春学期(約290名)および秋学期(約520名)のプレースメントテストは、本来の対面形式ではなく、来日前にオンラインで実施することになった。そのため、テスト準備、またその実施、さらにはテスト後のデータ処理およびクラス分けの作業にかなり時間を取られ、本研究課題に充分に取り組む時間が確保できなかった。具体的には、春学期には、ヨーロッパ向けと北米向けのオンラインコースがあったため、プレースメントテストからクラス分けまで、時差を考慮しなければならず、非常に複雑な作業が必要であった。秋学期には、2年ぶりのキャンパスでのプログラム再開もあり、通常の1.7倍ほどの応募申し込みがあり、これまでに経験のない大規模なプレースメントテストを実施する必要があった。また、この秋学期には担当する日本語クラスの履修者数も通常学期と比べてかなり多かったため、日々の授業の進め方の調整や課題の採点などに時間を取られ、研究課題の遅れの一因となった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度の予定は以下の通りである。①本年度に発表した日本語母語話者同士の雑談の再分析の結果の続きを論文として発表する。②研究代表者が勤務する大学の留学生別科秋学期(8月~12月)に「雑談コース」を初めて対面形式で開講する。その中で本研究課題をどのように体系的に取り入れることができるか検討を続ける(2022年1月から5月まで実施した「雑談コース」はコロナ渦でのオンラインでの実施という特殊な状況であったため、ある意味パイロット的な試みであった)。なお、この「雑談コース」は、秋学期(8月~12月))及び春学期(1月~5月)の開講というサイクルを隔年で行うことになっている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の科研費予算のうち、使用しきれなかった分が繰り越され、次年度の予算として計上されたため。次年度の予算は、主に「雑談」を研究テーマとする書籍の購入や研究代表者と分担者の打ち合わせのための旅費に使用する計画である。
|