研究課題/領域番号 |
20K00717
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
竹井 光子 広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 教授 (80412287)
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研究分担者 |
渡辺 文生 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (00212324)
吉田 悦子 三重大学, 人文学部, 教授 (00240276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国際共修 / リンガフランカ / 接触場面 / 言語管理理論 / 異文化間能力 / Virtual Exchange |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国内学生(日本語第一言語話者)と外国人留学生(日本語学習者)が共に学ぶ国際共修授業における談話の特徴や言語行動の傾向を調査し、「共通語としての日本語」によるインターアクション経験が双方にもたらす意義と課題を明らかにすることである。当初は、国際共修授業の疑似的場面(課題解決型3人会話)におけるデータ収集を計画していたが、2020年度以降のコロナ禍による国際移動の困難や接触の制限から対面式のデータ収集が実現不可となったため、オンライン接触場面におけるデータ収集への変更を行った。2020年度に引き続き、2021年度後期(秋学期)にも研究協力者2名が所属する米国2大学との連携により、オンライン国際交流と会話データ収集を融合させた「日米大学会話プロジェクト」の第2回目を企画し、オンライン接触場面における課題解決型会話と参加者への事後アンケートおよびフォローアップインタビューの結果データを継続収集することができている。申請時の研究計画調書では言及していないVirtual Exchange (O’Dowd, 2021)という新たな要素がデータ収集計画に加わる結果となったわけだが、2021年度のアンケート・インタビューでは、その新要素である virtualityに焦点を当てた質問を加えることでオンライン接触における意識の解明を試みようとしている。特に、国内学生(日本語第一言語話者)と外国人留学生(日本語学習者)双方について、third spaceや Japanese as a lingua franca (JLF)の概念を援用した意識面での分析を目指している。移動を伴う国際交流が再開されつつある中、今後もニューノーマルの中で併存するであろうバーチャル交流に引き続き注目しつつ、国際共修への示唆を導き出したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】で述べたオンライン接触場面への設定変更を行った上で、2021年度に収集が完了したデータセットは以下の通りである。
2021年度・後期:オンライン相手言語接触場面(5グループ)、オンライン第三者言語接触場面(3グループ)、オンライン母語場面(2グループ)
2020年度と合わせて計29セット(相手言語接触場面15グループ、第三者言語接触場面9グループ、母語場面5グループ)の会話データが収集できたことになる。データセットの主たる土台となった「日米大学会話プロジェクト」については、オンライン接触場面の理論的背景およびプロジェクト設計を論文にまとめることができた(Takei, Fujiwara & Shimojo, 2021)。また、2021年度のデータセットを中心に、会話データおよびアンケート・インタビューデータの分析が進み、複数の国際学会において、learner corpus, JLF, third space などをテーマとして発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に virtuality という要素を加えた上で、アンケート・インタビューデータの内容分析は順調に進んでいる。これと並行して、会話データにおける言語行動の分析を進めることで、行動の背景にある意識、意識を反映する行動など、両者の照合を試みる予定である。2021年度中にさまざまな切り口から行った発表を統合・総括する論文の計画も視野に入れたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に続き、コロナ禍による移動の困難に伴い、計画していた学会出張などの旅費の執行ができなかった。一部はオンライン会話プロジェクトの遂行やデータ分析に必要な物品費、その他の費用等に当てたが、多少の未使用額が生じた。次年度以降の旅費にあてる計画である。
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