本研究の目的は、Information and Communication Technology(以下、ICT)を使った授業が「誰に」、「どのような効果があるのか」を費用としてかかる「コスト」という観点を意識して実証的に明らかにすることである。この証明のために、Virtual Reality(以下、VR)を用いた実験的な授業を構築する際に、教師がどのような負担を感じるのか、どのような教育効果を発見できるのかということに焦点を当てて研究を推進する予定であった。しかしながら、COVID-19の影響で、教室でのデータ収集並びに被験者からの協力が得ることができなかったのが現状である。 この状況を受け、初年度はICTと日本語教育での実情調査を行うことを目標とし、1)大学での日本語教育、2)国内の日本語学校、3)国外の日本語教育機関、4)地域支援におけるCOVID-19の影響と対策についての聞き取り調査をオンラインで行なった。 23年度は、COVID-19が終息を迎えつつある段階において日本語教師のICTリテラシーにどのような変化が見られるのかについて聞き取り調査を重点的に行った。その結果、完全なる従来型の授業への回帰思考とCOVID-19を経て身に付けたICTスキルをどのように取り入れるべきかで思案する層の二つのグループがあることがわかった。 最終年度は、教師がICTを使用する際の意思決定に焦点を当てて研究を推進した。参考にしたものは技術受容モデル(TAM)であり、このモデルを援用して日本語教師のICT活用に関するモデル構築を行った。
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