研究課題/領域番号 |
20K00724
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
桑原 陽子 福井大学, 語学センター, 准教授 (30397286)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 読解過程 / 縦断的研究 / 中級日本語学習者 / 教育実践論文 / 非漢字系 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中上級日本語学習者の論文を読むプロセスの変化を縦断的調査によって明らかにすることである。読解教育において軽視されがちな、正確に構文を捉えて読むボトムアップ型の読みがどのように行われているのかを明らかにし、どのような読みの困難があり、それがどのように解消されていくのかを記述 する。 2022年度は,中上級日本語学習者1名を対象に、論文読解プロセスの観察調査を行った。調査回数は2022年9月から2023年2月まで合計18回である。調査協力者は、教育学を専門とする大学院生で母語は英語である。日本語を読む能力は中級レベルであった。読む対象は、現職教員による授業実践報告(紀要)と教師用指導書である。調査は調査者の研究室で実施した。パソコンやスマートフォンなど普段使用しているものを持参してもらい、普段と同じ環境で読んでもらった。調査協力者の希望で、読む対象の授業実践報告を日本語でまとめて報告してもらった。これまでの調査から明らかになった,係受けの解釈の難しさについて,調査者から細かく質問し,文の構造を正しく把握しているかどうかを確認した。この調査は2023年度も継続して行う予定である。 また,2019年度までに収集したデータをもとに,「である」の読みの難しさについて論文にまとめた。 さらに,これまでの調査から「によって・により」の解釈が難しいことが明らかになっており,それえをふまえて「によって,により」を読むための手がかりについて分析し,専門日本語教育学会で発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
読解過程の観察調査を合計18回実施することができ、読解過程のデータを十分に入手することができた。また、これまでに収集したデータから示唆された「である」の読みの難しさについて分析を行い、論文にまとめることができた。さらに,専門日本語教育学会で発表を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年までに収集したデータの分析を行う。そのために、収集したデータを分析可能な形に整理・加工する。 さらに,継続してデータ収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
病気治療のために参加を予定していた海外の学会に参加できなかったため。2023年8月に開催されるヨーロッパ日本語教師会のシンポジウムで研究成果について口頭発表を行う。そのための海外出張旅費として使用する。
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