研究課題/領域番号 |
20K00737
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
高村 めぐみ 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10551111)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 発話機能 / 摂津方言 / 共通語 / 機能に相応しい韻律 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、大阪・摂津方言における発話機能に相応しい韻律的特徴と、共通語における特徴を比較した結果、明らかにかなった点を発表した。結果の概要を以下10項目にまとめる。
1. 挨拶:両方言とも全体的に高め、大きな声で、抑揚をつけない。但し、大阪弁は1拍あたりの時間長が長くなる傾向がある、2. 声がけ:共通語はゆっくりで、高い、3. 依頼:両方言とも全体的に高めで抑揚あるが、大きな声を使う。さらに、共通語は非常に低い声は使わず、声の大小変化がある、4. 要請:共通語の方がゆっくりである、5. 詫び:両方言とも全体的に低めで、小さい。さらに、大阪弁は抑揚豊かだが、非常に小さな声を使う傾向がある、6. 同情:両方言とも低め、かつ小さめだが、声の大小変化はある。さらに、大阪弁は非常に大きな声を使う傾向がある、7. 感謝:共通語はゆっくりである、8. 許可:両方言とも全体的に低めで、小さい。非常に低い声、小さい声も使う傾向がある、9. 祝い:大阪弁は抑揚豊かで、非常に大きい声を使う傾向がある、10. 賞賛:両方言とも非常に小さい声も使う傾向がある
この結果から、①挨拶(1. 挨拶)、②話し手の感情を明確に伝える機能(5. 詫び、6. 同情、7. 感謝、10. 賞賛)、③聞き手の負担になる可能性を相手に伝える機能(3. 依頼、8. 許可求め)には、両方言の韻律に共通点が多いことがわかる。これは、方言固有の特徴を超えた、「日本語」全般に共通する対人コミュニケーションが存在し、中でも他者への配慮が必要な場面でより共通項が多くなると推測できる。一方、僅かな時間に相手の存在を確認し、話し手から働きかける機能(2. 声がけ)は、両方言の韻律に相違点が多いことがわかる。これは咄嗟の発話のため、母方言の影響が大きく出るのだと推論できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・摂津方言を母方言とする先生に、関西地域の日本語教育機関で音声指導をご協力いただく予定だったのだが、その先生が東京に異動してしまったため、研究計画を大幅に変更する必要が出てしまった。新しく協力を依頼する先生を探すこと、および研究計画の方針変更に長い時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に研究会で発表をした際、たくさんの方から様々な示唆をいただくことができた。それを大いに生かして、今年度はまず論文にまとめる予定である。 また、可能であれば、山形、大阪以外の地域での調査を行う方向で計画をすすめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、協力をお願いする予定だった先生の異動で、研究計画を大幅に変える必要が出たため、予定していた費目の予算を使うことができなかった。
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