研究課題/領域番号 |
20K00747
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
吉重 美紀 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (80156265)
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研究分担者 |
和田 智仁 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (70325819)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | タブレット / パソコン / スマートフォン / ICT / アンケート / アプリ / ビデオ通話 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の一つは、英語で情報発信するためのタブレット端末やスマートフォン等ICTの学生の利用の現状と今後の活用方法について調査することである。勤務校の学生は現在英語の授業でスピーチやプレゼンテーション等、情報提示の手段としてタブレット端末等を利用しているが、学生の英語の発音や会話練習・インタビューといった情報発信につながる利用方法については把握できていなかった。そこで今年度はまず、勤務校と近隣の国立K大学の学生を対象に、「英語学習におけるICT利用に関するアンケート」調査を実施した。被験者は学部1、2年生で、勤務校の体育大学21人、K大学34人の計55人である。調査は、令和2年度後期末の1月末から2月上旬、各大学のLMS(WebClass, manaba)を利用し実施した。アンケート調査は、筆者の担当クラスで協力できる学生に期間を限って回答してもらった。 アンケートは、遠隔(オンライン)授業に関する質問から始めたが、遠隔授業の使用機器は、「画面が大きくて見やすい」「操作しやすい」等を理由にパソコン(57%)が多く、次いで「扱いやすい」「パソコンを持っていない」等でタブレット(35%),スマートフォン(9%)の順であった。英語学習におけるICTの活用については、約7割が活用し、25%は活用していないと回答した。英語学習を目的としたアプリ等に関しては、主に「英単語アプリ『mikan』」等英単語の学習や辞書・翻訳アプリを利用していた。英語学習におけるスマートフォンの活用法については、ビデオ通話と辞書・翻訳機能を挙げた者が多く、次にリスニングと発音の学習、そして通学中等すき間時間の学習、アプリの利用が挙げられた。一方タブレットの活用法としては、ビデオ通話を挙げた者が多く、次にリスニングと発音が挙げられた。 アンケート実施後は、来年度に備えアンケート調査項目等の見直しを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で、授業形態が対面から遠隔(オンライン)授業となり、その対応とその他の学内業務により、当初予定していた本研究課題に割ける時間が少なくなったため、思うように研究を進められなかった。特に、初年度は他大学での英語教育におけるICT活用に関し、大阪大学や青山学院大学など他大学での授業実践等を見学し情報収集したいと考えていたが、県外への出張は全くできなかった。 また「英語学習におけるICT活用に関するアンケート調査」の実施にあたっては、先行研究の文献の入手に予想以上に時間を要し、後期末予定したアンケート実施に間に合いそうになかったため、大まかな実態把握を目的に、当初予定した勤務校以外の大学でも勤務校の特徴を探るため調査を行なうことにした。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容に関しては、コロナ禍で勤務校はもちろん全国の大学でLMSを利用したオンライン授業が始まり、研究対象である学生のICT利用の機会は格段に増したと思われるため、ICT利用による英語の発信力育成プログラムを構築するには今が好機と捉えている。 今後はまず、学生の英語学習におけるICT利用の現状と今後の活用方法に関するアンケート調査について、今年度実施した調査項目を見直し、来年度改訂版のアンケート調査を勤務校の体育大学で被験者を増やし行う予定である。その調査結果をもとに、学生の英語発信力を育成するために、ICTをどう学習活動に活用していくかを検討する。例えば、学生達は特に所属する課外活動(部活)に関する情報発信は日本語では大学のホームページ等を使って日頃から実施しているようなので、これを英語でも情報発信させるような取り組み等を考えていきたい。 また予定していた他大学の外国語教育でのICT活用を実際に見学し情報収集する計画は、今後もしばらく困難かと思われる。その代替措置として、文科省の環境整備で令和3年度よりほとんどの小・中学校で「1人1台端末」整備が完了し、実際にそれらを活用して授業が展開される運びとなっていると聞くので、小・中・高等学校における外国語教育でのICT活用に関する動向にも注目し、大学でも活用できる方法を検討していきたい。 災害や今回の新型コロナのような感染症などによる学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境の整備が必要である。その環境を活かしていかに子供たちや学生に還元できるか、この研究を通して明らかにしたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、英語学習におけるICT活用に関するアンケート調査の実施に加え、他大学での外国語教育におけるICT利用に関する情報収集のため、大阪大学や青山学院大学等の授業実践を見学する予定にしていたが、新型コロナの影響で県外への出張等ができなくなったため、その旅費として予定していた助成金を使用できなかった。同様に学会等の中止が相次ぎ、参加予定であった学会や研究会へ参加できず、その旅費を使用できなかった。 次年度使用額は、改訂版アンケートの集計と分析の謝金、学生の情報発信のための映像作成に必要な機器(タブレット端末スタンド等)の購入、映像作成をサポートする学生等への謝金、タブレット端末で使える英語学習アプリの購入、外国語教育におけるICT活用関連の図書の購入、ICT活用に関する研修会の参加費等に使う予定としている。
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