研究課題/領域番号 |
20K00747
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
吉重 美紀 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (80156265)
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研究分担者 |
和田 智仁 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (70325819)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ビデオ通話 / ショートスピーチ / 音読指導 / デジタル学習環境 / オンラインテスト |
研究実績の概要 |
前年度の勤務校と近隣の国立大学の学生を対象に実施した「英語学習におけるICT利用に関するアンケート調査」では、英語での情報発信につながるICTの利用方法として、ビデオ通話や辞書・翻訳機能、リスニングと発音が挙げられた。そのため今年度は担当する授業で、これらを活用する英語活動を実践し、その成果を2回の業者テスト(オンライン)により調べることとした。この業者テスト自体もICTを活用して実施した。 授業の英語活動としては、英語発信力育成のための1)ショートスピーチの指導、2)英文音読の指導、および3)デジタル学習環境(CheckLink)活用による課題実施の3つである。ショートスピーチは、原稿チェックから発音指導までを授業時間外にオンラインで個別指導し、授業ではオンラインで写真等を共有し発表させた。英文音読は、再履修生のクラスで指導し、オンラインクラスで学生に発表させた。デジタル学習環境のCheckLinkは、授業(教室内)での学習と自宅学習がシームレスに繋がり、学生が授業外でもICTを使わざるを得ない環境を作り、オンラインテストの実施と同様に授業外での学生のICT活用に役立ったと思われる。 上記ICTを活用した活動を取り入れ、学生の英語力向上に成果があったのかオンラインテストを学期前半と学期後半の2回実施し検討した。テストはリスニングとリーディングから成るオンライン業者(外部)テストで、担当した3クラスでリスニング、リーディング両方にその成果が認められた。受験者全体の平均点では、リーディングで45点、リスニングで42点の伸びが見られた。クラス別では、下位クラスはリスニング(平均408→469点)に、再履修クラスはリーディング(平均377→428点)に向上が見られ、中位クラスはリスニング(平均431→479点)、リーディング(平均409→459点)と両スキルで向上が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、今年度は学生に英語で情報を発信するビデオ映像などの成果物を作成させる予定であったが、今年度からの勤務校のカリキュラム改定により英語の授業で担当するクラスが主に下位レベルと再履修クラスとなったため、情報発信に必要な英文原稿の作成や英文音読・発音指導等により多くの時間を割く必要が出てきた。今年度は授業にICT活用の諸活動を取り入れそれぞれ指導したが、ビデオ映像等ある程度の時間をかけ学生自らに英語の情報発信の成果物を作成させるためには、授業以外のプログラムでの実施も今後は検討していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度・今年度の勤務校でのアンケート調査の結果から、学生は英語学習において授業外ではICTをほとんど活用していない事が明らかとなった。 今年度コロナ禍2年目で勤務校ではオンライン授業が多くなったが、他の大学の例にもれず勤務校でも新しい外国人留学生の入国は、まだままならない。メデイアで我が国に留学生を受け入れない事で今後予想される問題が取り上げられているが、この状況を逆に利用し、本国(例えば、勤務校の交流協定校がある中国や台湾等)からオンラインで勤務校の授業に参加する外国人留学生のために、勤務校の学生に勤務校の研究施設やゼミ・課外活動等を英語で紹介するビデオ映像等を作成してもらいたい。学生には作成目的が明白であり、近い将来渡日して共に学ぶ留学生と渡日前から成果物を通した交流が可能になるであろう。 授業では今年度実施した活動や英語での情報発信のために必要なスキルを養成する基本的な指導を継続する一方で、今年度から勤務校で始まった、学びや研究力の強化を授業以外でも支援する「体育スポーツ教育強化(SHEEP)プログラム」を利用し、プログラム参加者に英語による情報発信の成果物を作成させ、それを海外の交流協定校等へ発信していくシステムの構築を参加者と一緒に検討していきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、今年度学生に英語で情報を発信するビデオ映像などの成果物を作成させる予定であったが、その前の英語による情報発信のための基本的なスキル指導と授業での発表に終わったため。成果物を作成するために予定していたビデオ作成指導や英文原稿推敲の謝金等を使わずにすんだ。次年度は、成果物の作成のための上記謝金や物品等の購入と、成果物の勤務校のオンラインシステム(例えば、勤務校や課外活動のホームページ、広報のSNS等)への成果物の掲載等に使用する予定である。また学会等で本研究の成果を発表するため、論文投稿や学会参加費としても使用の予定である。
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