研究課題/領域番号 |
20K00758
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
阿久津 純恵 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (20460024)
|
研究分担者 |
小木曽 左枝子 立命館大学, グローバル教養学部, 准教授 (30761548)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 英語教育 / ライティング / 学習者英語 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語を母語とする英語学習者の英語ライティング力養成のために、日本語と英語の言語・文化的差異を意識させるライティング教育方法の考案を目的としている。特に、カタカナ語・和製英語の影響が大きいと思われる英語の語彙・表現における誤用傾向について、学習者コーパスのコンコーダンス分析を用いて具体的に指摘し、カタカナ語・和製英語の由来や意味の理解を促す指導を通して、適切な英語表現を学習させることができる教育方法の開発を目指している。 2020年度は、研究の第一段階として、「英語学習者の産出する英語にみられる母語の影響分析方法に関する先行研究の検証と作業仮説の設定」を目標に掲げ、大学生の英語ライティングデータおよび英語ライティングに対する意識調査の分析を行った。具体的には、日本語を母語とする英語学習者に共通する誤用や不自然な表現の傾向について、学習者のライティングデータとアンケートデータを、テキストマイニングソフトウェアを使用して分析・考察し、「英語らしい英語」の妨げとなっている要因として、日本語から英語への直訳の問題だけでなく、辞書の使用においても、適切な辞書の選択や活用方法についての理解が不足していることが明らかとなった。また、今後のデータ収集に向けて、作業仮説および条件の設定のために、日英バイリンガルデータを収集する意義について検証し、日本語を母語とする英語学習者が産出する英語における母語の影響測定の重要性および母語を活かした英語教育の有用性について、理論的枠組みを精査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、研究代表者と分担者の勤務する大学において、非対面授業の準備・実施に多くの時間がとられてしまい、また緊急事態宣言により研究室の使用にも制限があり、研究計画通りに共同研究として研究を進捗させることができなかった。したがって、主に「英語学習者の産出する英語にみられる母語の影響分析方法」を軸に研究の作業仮設設定に取り組んだが、「カタカナ語・和製英語に関する先行研究の検証」については、作業は継続中であり、また、データ収集は当初の計画通りに実施することが可能か予測することが難しい社会情勢であったため、データ収集条件の設定は2021年度に実施する計画へと案を変更している。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究計画に沿って、段階的に課題を実施し、適宜、学会報告として発表・公開していくことを目指す。学習者の産出する英語から、不自然な英語表現の要因の一つとなっているカタカナ語や和製英語を抽出し、研究協力者へのインタビュー調査と合わせて、日本語を母語とする学習者のカタカナ語・和製英語の使用実態を明らかにすることを目指す。そのために、「カタカナ語・和製英語に関する先行研究の検証と作業仮説の設定」について、研究対象とするカタカナ語・和製英語をリスト化する作業を完了させ、2021年度中にデータ収集条件を整理し、データ収集開始の準備を整える。収集データを多角的に分析・考察することで、カタカナ語・和製英語が英語学習者が共通して抱える問題であることを検証し、さらに具体的な指導・学習方法について検討することで、カタカナ語・和製英語を英語ライティング力養成に応用する教育方法の提案を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を、国内外の国際学会において発表し、論文投稿の機会を得ていくために、成果発表用旅費および学会参加費を計上していたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大などにより、当初の予定よりも研究の進捗が遅れており、また、国際学会の開催時期・形態・参加費などに大きな変更があり、次年度に執行を希望する予算として残額が生じている。今後、研究協力者に、データ収集・インタビュー調査などへの協力を依頼する予定であり、謝金が発生する。研究協力依頼については、社会情勢を鑑み、次年度以降の適切な時期に依頼を検討し、適宜予算を執行していく計画である。
|