研究課題/領域番号 |
20K00771
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
内藤 稔 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (90507211)
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研究分担者 |
金田 拓 帝京科学大学, 教育人間科学部, 講師 (10759905)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コミュニティ通訳 / 教材開発 / 子育て支援 / ロールプレイ / 外国人 |
研究実績の概要 |
就学期における多言語支援として潜在的に何が求められているか、現状どのような課題が存在しているかというニーズをヒアリング調査で明らかとした。研究代表者が外国人支援にあたる地方自治体や国際交流協会等を通じて、ケーススタディとしての事例収集を重ねた。事例の収集は、北海道地方や東北地方、首都圏、中部地方、および九州地方で、日々対面形式およびオンライン形式で外国人相談事業を行っている各専門団体からの協力を得て実施した。ヒアリング調査は、コロナ禍という状況下、主にZoom等のビデオ通話アプリケーションを用いて、オンライン形式で行った。 ヒアリング調査を通したデータ収集においては、多言語支援を行う側、受ける側からの視点で、コミュニティ通訳教材を作成するにあたり必要な要素を抽出、検討した。コミュニティに生活する者として既知の事柄でも、職業人として体系的に把握する必要が確認された。 本年度行った調査は、本研究全体を通して構築するコミュニティ通訳養成教材の試作に向けてのものである。一般的にコミュニティ通訳には、各地域社会の制度を中心とした背景知識と、逐次通訳等の通訳技法の2つが求められる。本調査は背景知識部分に焦点を当てている。背景知識に関して、就学期の支援の場合、通訳学習者は日本で教育を受けており既知の事柄であるケースが多いが、「何が障害となり得るか」に関しては、研究調査に基づく訓練が、効率的に習熟するのに必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗に関して、当初の調査では、ヒアリングに加え質問紙を用い、また調査対象も可能な範囲で利用者を含めることを予定していたが、新型コロナウイルス禍により調査方法や協力者に制限が生まれ、調査は国際交流協会等への聞き取りを中心とせざるを得ない状況となった。調査規模が縮小したことで、進捗自体は初年度より改善した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、行政におけるコミュニティ通訳者養成のための教材を試作する。前2年の調査から、多岐にわたることの予想される相談内容のうち、通訳稼働時に遭遇しやすいシチュエーションを選定した。試作を行うのは、就学期児童と保護者を支援するコミュニティ通訳者養成に向けた教材であり、題材はコミュニティ通訳者が業務にあたる状況を再現した、小学校教職員・外国人保護者・コミュニティ通訳者の3者が揃ったロールプレイ形式とする。 試作する教材の使用者として想定するのは、大学・大学院においてコミュニティ通訳の実技科目を学ぶ学生のほか、地方自治体や国際交流協会、NPOなどにおいてコミュニティ通訳業務に携わるスタッフである。研究代表者・研究分担者が教材の執筆にあたり、日ごろ外国人支援にあたっている地方自治体や国際交流協会の職員、サービスを受ける側の外国人保護者等および学校関係者による検証を行う。試作後、試作教材を用いた通訳訓練を大学・大学院、ならびに地方自治体や国際交流協会等のコミュニティ通訳研修にて実施する。実施は研究代表者が担当し、ヒアリング等により教材を使用する側からのフィードバックを得て、教材開発に活かす。ロールプレイ教材の開発後、英語・中国語・ベトナム語・フィリピン語・ネパール語の需要の高い5言語への多言語化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス禍において、調査旅費、学会発表旅費の未使用分が生じたため。調査や学会発表で利用する通信用の機器や関連機材などに使用する。
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