最終年度で試作した教材は、小学校教職員、外国人保護者、コミュニティ通訳者の3者が揃ったロールプレイ形式のものである。具体的には、小学校での保護者面談等に参加する外国人保護者が、教職員との意思疎通を図るために、コミュニティ通訳者に通訳を依頼する場面を題材とした。このシチュエーションでは、通訳者は教職員と保護者の言語と文化の違いを調整する必要があり、適切なコミュニケーションを図るためのスキルを身につけることが求められる。 題材として選択されたのは、入学時における給食に関する相談事例、情報連絡に関する相談事例、通学に関する相談事例、通学時の持参品に関する相談事例、学校行事に関する相談事例、休日に関する相談事例にくわえ、入学後の新型コロナウイルス感染に関する相談事例である。 教材は、まずこれら日本語で遭遇頻度の高いシチュエーションのロールプレイを作成し、さらにその後、各言語の翻訳者を雇用して多言語化した。言語は厚生労働省相談ダイヤルでも対応されている言語の中から英語、中国語、ベトナム語、ネパール語の4つを選び、それに加えて、2022年ウクライナ侵攻の情勢を鑑みてウクライナ語を加えた5言語とした。各言語に翻訳されたやり取りを日本語原文と組み合わせ、教材として完成させた。 2022年度の最終段階で、試作した教材を用いて、地方自治体・国際交流協会の研修にて訓練を実施した。実施は研究代表者が担当した。通訳訓練に参加した訓練生・スタッフからは、ロールプレイ形式の教材が実践的であるとの意見が寄せられた。
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