研究課題/領域番号 |
20K00775
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
石原 知英 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (80583559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | TILT / 英語教育 / 通訳翻訳 / 仲介能力 |
研究実績の概要 |
本研究は、通訳翻訳研究におけるTILTの考え方を日本の英語教育研究に適応し、教室現場での具体化および効果の検証をすすめることを目的とし、場面や目的を明確にしたコミュニケーションとしての翻訳タスクを開発し、言語習得の観点と仲介能力の育成という二つの観点からその効果の測定・評価を行うために申請したものである。 初年度にあたる2020年度(令和2年度)には、主にコミュニケーションとしての訳を実現する言語活動の開発を行った。まず、書籍等の資料を参照し、通訳翻訳のプロセスおよび仲介概念を整理するとともに、現在教室で行われている様々な言語活動―とりわけリテリングとストーリーテリング―を精査し、これまでに得られている知見と今後の課題についてまとめた。また、それらを踏まえて、中学校・高等学校および大学の語学科目等の教室で活用できるタスクを開発することを念頭に、複数の教員・研究者とのオンラインでの打ち合わせを行い、いくつかの言語活動を開発した。具体的には、(1) ピアスピーチ通訳演習:一人が口頭で英語によるスピーチを行い、それをもう1人、またはグループで日本語に同時/逐次通訳する活動、(2) 仲介的リテリング活動:ペアのスピーチをノートテイクをしながら聞き、それを別の相手に英語で伝える活動、(3) ニュース字幕の作成演習:短めの英語動画を素材として、グループで協働して日本語字幕をつける活動、(4) 絵本の私的翻訳タスク:グループで日本語絵本を翻訳し、それを英語で読み聞かせる活動、等の言語活動がある。これらの活動のうち、(1) については、2020年度に大学生を対象とした授業実践を行ったところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、タスクの開発および実施計画のすり合わせのため、語学を担当する大学英語教員や、中高の英語教員との複数回の打ち合わせを計画していたが、新型コロナ感染症対策等による出張等の取りやめにより、オンラインでの打ち合わせのみとなった。また、これまでの成果の発表を予定していた学会の開催中止・延期に伴い、成果を公表する機会が十分に得られなかった。現在投稿中の論文が1本あるが、そちらの掲載も間に合わなかったため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度には、これまで実践を行ってきた(1)についての成果をまとめ、夏に開催予定の学会での発表を予定している。また、開発した言語活動の(2)および(3)については、今年度の前期または後期の授業期間中での実践を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
打ち合わせや学会発表のための出張の取りやめにより、予定していた旅費・謝金の支出が不要となった。一方で、研究の過程で必要となる書籍等の物品が増える見込みであることから、この余剰分は、今年度実施できなかった打ち合わせや学会発表のための旅費として、また追加で必要となる書籍等の消耗品費として、当初の予算に合算して使用する予定である。
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