本研究の学術的意義は、TILTの考え方をベースとした具体的なタスクの例が提案されたこと、またその実践と検証を通して、教室における訳の活用について、その利点と限界の一端が明らかになったことが挙げられる。また、検証の中で、言語習得的な観点に加えて、学習者の訳すことについての認識や、仲介能力の育成(方略の使用)についての検討が進められたことは、これまで英語教育の文脈の中で十分に理解されていない「訳すことは、言語コミュニケーションの一形態(仲介)であり、外国語使用者・学習者に特有の日常的なコミュニケーション行為である」という点についての理解を深めるとともに、これからの英語教育への応用が期待される。
|