研究課題/領域番号 |
20K00777
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
植村 麻紀子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (70512383)
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研究分担者 |
山崎 直樹 関西大学, 外国語学部, 教授 (30230402)
古屋 憲章 山梨学院大学, グローバル・ラーニング・センター, 特任講師 (30749049)
中川 正臣 城西国際大学, 国際人文学部, 准教授 (30796280)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インクルージョン / 言語学習方略 / 当事者駆動 / インクルーシブデザイン / インクルーシブ教育 |
研究実績の概要 |
「平均的な学習者」のイメージに基づいて設計されてきた従来の言語学習の方法は、学習者それぞれの認知特性や学習スタイル、母語の違い、障害の有無といった多様性を十分に尊重してきたとはいえない。本研究は、これまで教室の中にインクルードされてこなかった学習者、あるいは教室の中で異質な存在と捉えられがちだった学習者が、言語学習のさまざまなプロセスのどの段階で、どのような困難を感じ、それにどう対処するかを、広い意味での「言語学習方略」の問題であると考え、多様な特性をもつ人々の多様なコミュニケーションのあり方を捉え直し、当事者を「共同研究者」として、「当事者駆動型のインクルーシブな言語学習環境設計」に取り組む。 初年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、当初予定していた当事者インタビューや各種会合をオンラインに切り替えざるを得なかった。9月6日、視覚障害を持つ日本語学習者への授業実践の経験を持つ教員を迎え、Web会議システムZoomを使った勉強会を開き、またメンバー全員がそれぞれの関心に沿った書籍を読み、概要を紹介し、今後の研究計画も含め討論した。年度最後の3月14日には、「インクルーシブな社会の実現のために言語教育は何ができるか」をテーマに掲げ、JSPS 基盤研究(C)19K00917と共同で、研究集会をオンラインで開催した。9月の勉強会、3月の会合ともに、当日の発表資料は全て「言語教育におけるインクルージョンを考える」と題したサイトで公開している(http://incl4lang.html.xdomain.jp/)。 コロナ禍が収束するまで、引き続きオンライン中心の活動になるので、研究方法や最終成果物の形についても毎月の定例ミーティングで検討を重ねながら、SNSを活用し頻繁に連絡を取りあい、各自、先行研究の文献調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を開始した令和2年度は、新型コロナウイルス感染症流行に伴う各種対応のため、研究の開始が遅れた。さらに、当事者インタビューに出かけることや、研究メンバーが一堂に会し、じっくり時間をかけて討論する時間が取れなかったため、当初の予定より若干遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の眼目は、従来用いられているような当事者インタビューの分析・考察といった研究手法ではなく、当事者駆動型で当事者とともに開発する過程自体を大切にする「インクルーシブ・デザイン」にあるが、障害を持った当事者の場合、感染リスクを避けるために対面で共に活動することが難しい。また、国内外の出張も厳しい状況が続くことが予想される。 上記のような状況に鑑み、当初の研究計画を若干見直し、二年目(令和3年度)は文献調査による論文執筆を中心に進めていく。また、Zoomを用いて複数の当事者とオンラインでの座談会を企画したり、研究テーマに関連する分野の専門家による講演会やシンポジウム、研究メンバー自身が研究テーマに関する読書報告をする会などをオンラインで催す予定である。ワクチン接種が進み、ある程度状況が改善すれば、令和4年の会合やインタビューはFace-to-Faceに切り替えたいとの希望があるものの、感染症の影響がいつまで続くかによって、さらなる計画変更の可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、当事者駆動型で進めるために、当初予算の大半を当事者訪問インタビューなどに使う「旅費」としていたが、出張には一切行けなかった。コロナ禍収束までは国内外の出張が制限されるため、オンラインでの調査に必要な機材購入を中心に「物品費」などに振り分けていく。
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