研究課題/領域番号 |
20K00784
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
相澤 一美 東京電機大学, 工学部, 教授 (00222448)
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研究分担者 |
折田 充 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (60270386)
片桐 一彦 専修大学, 文学部, 教授 (00337726)
磯 達夫 東京電機大学, 工学部, 教授 (40438916)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 英語語彙 / 接頭辞 / 接尾辞 / 習得順位 / 診断テスト / 体系学習 / オンライン学習 |
研究実績の概要 |
今年度は,開発した「Affix Master 10」が,学習者の接辞の習得にどの程度の効果があるかを調査した。具体的には,昨年同様に10回の指導を行い、参加者の接辞の知識を指導の事前と事後で測定し比較することにした。 参加者は工学系大学の学生81名であった。学生は,Affix Master 10を利用して、(1)WebClass(LMS)を用いた接辞に関する動画の視聴、(2)単語学習アプリケーションVOCALSを用いた機械学習の繰り返し、(3)WebClassを用いた学習課題の提出、(4)復習用のオンラインテスト、の順で個別学習を行った。この4段階での復習用のオンライン小テストを含めて各回の学習時間は約40分となった。事前・事後テストには、同一の多肢選択式テストを使用した。テストは各接辞につき2組の問題を準備し、参加者61名全員のスコアを接辞ごとに分析した。 調査の結果, 2つの知見が得られた。第一に、全体的な指導効果は接頭辞では統計的に有意であったが、接尾辞では得点は上昇したものの有意差は認められなかった。第二に、いくつかの接頭辞(anti-, en-, inter-, mis-, post-とpre-)はテスト後の段階で知識量が増加したが、他の接頭辞では事後に有意な効果は認められなかった。接尾語は、-enだけが有意に知識量が向上した。 これらの結果の原因として,接頭辞は単語の意味を変えるので、接頭辞のついた単語は語幹との組み合わせで,意味を手がかりとして覚えやすかった可能性がある。一方、接尾辞は語幹のコアな意味を変化させるのではなく品詞を変化させるので,接尾辞がついた単語の綴りが不規則な綴りになる場合があり,覚えにくかった可能性がある。さらに,今回使用した接辞の知識を測定するテストは,被験者にとって比較的容易だった(正答率66.6%)ため、天井効果につながった。今後の研究としては、より適切な接辞テストを構築し、異なる習熟度の参加者をより多く獲得する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説に基づく接辞の集中訓練のためのOnline教材「Affix Master 10」を構築するという目的はすでに達成できている。本年度は,さらに提出課題にフィードバック機能を備えるなど,システムの拡充に努めた。接辞の習得度合いを測定するためのOnline版接辞テストは,難易度の面で課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
接辞習得のための集中訓練の事前・事後に実施した接辞のonlineテストにより収集したデータを分析し,テストの信頼性・妥当性,接辞習得のための集中訓練の効果を検証する。課題と残った接辞のonlineテストをさらに改善する。さらに,学会で発表予定の研究を論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表を予定していたアイスランドでの学会がオンライン開催となり,計上していた海外出張旅費のほとんどが不必要となった。2023年度はアイスランドで開催で,現地で参加予定である。
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