研究課題/領域番号 |
20K00786
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
久保田 俊彦 明治大学, 文学部, 専任准教授 (80277722)
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研究分担者 |
石井 透 明治大学, 文学部, 専任教授 (30193254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | National Curriculum / Newbolt Report / Bullock Report |
研究実績の概要 |
Engliciousは現行英国ナショナルカリキュラム(NC)を前提とした文法教育プログラムであるが、前提となるNCの評価にはその導入に至るまでの(英語)国語教育政策を評価・確認する必要がある。NC以前の国語教育の目標・実態に関しては政府の諮問を受けた委員会による教育レポートが複数作成されて来ている。NCに至る流れを知る上ではNewbolt (1921), Bullock (1975), Kingman (1988) and Cox (1989) の4レポートが重要である。本年度はこれらのレポートをテキストマイニング的手法(対応分析、語彙ネットワーク分析を含む)で解析し、文法教育の流れに焦点をあて、それぞれのレポートの特徴、レポート間の関係を明らかにしている。従来これらのレポートは、教育政策学的、または、教育社会学的視点から調査されることが多く(例えば、Newbolt (1921) は第一次世界大戦後の傷ついた英国社会の再構築を図るための国語教育という視点でしばしば(時に否定的に)語られる)、今回のような調査はNC以前の教育調査に新たな視点を提供していると考える。 また同様に日本国内の文法教育史を調査し、特に文法の検定教科書が導入され、やがて廃止される過程を調査した。英国では検定教科書制度をもたないが、この廃止は「英文法の自由化」とも評価される場合もあり、NC下の文法教育、Engliciousの必然性を考えるうえで重要な視点となっている。 これらの結果を関係学会にて発表できるように準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は英国内での文法教育実態調査を行う予定であったが、COVID-19への日本、英国の対応から渡航しての調査が不可能となり、2021年5月現在も渡航調査の実現の目処はたっていない。そのため、渡航調査に基づくEngliciousプログラムの有効性研究を延期し、NCに至る教育政策・実態の理論的評価を中心に実行した。 また日本国内においても、各学校がCOVID-19への対応から授業時間を工夫しているなか、国内の実態調査のための協力依頼が困難となった。そのため、国内の文法教育政策の変遷の評価を先行して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
日本、英国の双方において調査のための渡航が正常に実施できる状況になり次第、遅滞なく実行する予定であるが、2021年5月現在において状況は不透明なままである。そのため、研究者間の情報交換をオンラインで行い状況の改善を待つ一方で、比較文法の視点からの記述、理論的な評価を先行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19への日本、英国双方の対応により、渡航を伴う実施調査が不可能となり、旅費として計上していた額を中心に、大幅な未執行が生じたため。
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