研究実績の概要 |
本研究の目的は日本語・韓国語・中国語・独逸語を母語とする話者による英語句動詞類の第二言語習得実験研究を行い、習得難易度と中間言語などを特定し、母語の影響及び学習可能性・教育効果などを検証することである。そのために、本年度は、理論研究としては「副詞辞を選択する」言語である英語と「副詞辞を選択しない」ドイツ語の比較対照研究を行なった。特に、ドイツ語の「前置詞と接辞」のSyntactic Properties(統語的特性)と意味的・統語的特性(Lemmatic Properties: ±Directional, ±Physical, ±Dimension, ±Aspectual)を分析し、ドイツ語母語話者を対象に文法性などを検証した。さらに、英語の副詞辞は文法化という歴史的プロセスを経ていると主張する:言わば、副詞(adverbs)→(または)前置詞(preposition)→副詞辞(adverbial Particles)→接辞(affix)への文法化(Grammaticalization)の過程を提案し、検証している。特定の文脈において、英語の前置詞は独立した単語の特性を失い、形態学的接辞の性質を獲得する。この歴史的語彙変化プロセスの中間段階であるのが副詞辞であるとして説明できることを検証している。言い換えれば、英語の副詞辞は前置詞のような性質と接辞(affix)の性質の様々な組み合わせを示し、非常に異質なクラス(範疇:category)に分類されるべきであることを主張し、検証している。ドイツ語の前置詞と接辞の分析も類似する方法で、文法化の中間段階である「副詞辞」の選択せず、「前置詞」または「接語 clitics」などが文法化の過程を経ていることを主張し、検証している。
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