研究実績の概要 |
「英語二重課題取組時の視線追跡から導く自律学習支援」と題し,英語を聞きながら読む二重課題に取り組む日本人英語学習者の視線を,視線追跡装置を用いて可視化し,学習者が視線の動向を振り返る中で,自らの認知プロセスを認識させ,課題解決に向けた学習方策の立て直しと自律的課題解決を導く学習支援方法の構築を目的とする.視線の迷いや滞りから,課題解決に必要な点を気づかせ,自律的な学習方策(これから何を学習すればこの課題は解き易くなるか)を,カウンセリングを通して導く.対象学生を毎年募り継続的に支援を実践し,研究の再現性の検証と学習者の自律化の実態調査を行うことも目的とする. 聴解読解二重課題時の視線追跡を日本人英語学習者の学習支援と組み合わせた研究は,国内外でまだ着手されておらず日本人の英語学習時における聴解と読解の二重課題の認知処理を視線追跡から分析し自律的な学習方策を導く点において,本研究は学術的独自性を有する. 先進国の中で自己肯定感が低い日本人学生にとって英語学習は更に自己肯定感を下げる要因の一つであり,特に5年間のカリキュラムにおいて,英語総授業時間(約375実時間)が普通高校3年間分(約438実時間)に満たない高専生が,英語への学習意欲を大きく下げるのが,中だるみと言われる高専2年生の時期である.この学年に焦点を当てて,二重課題に苦しんでいる高専2年生に研究協力を求め学習の自律化を支援する. 研究初年度の2020年度は、視線追跡装置の操作を覚え、スムーズに実験を行うための手法の検証とTOEIC Listening & Readingテストの公式問題集を用いた予備実験を2名の協力者に対して行った。また、研究代表者が主催している「音読道場」受講者高専2年生から希望者3名を対象に、英語音読時の視線追跡実験と自律学習支援を実施した.新型コロナ感染症拡大防止措置等の理由により、対面の先行研究調査を来年度以降に延期した.
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、新規の「音読道場」受講新規希望者(高専2年生)と実験継続者(高専3年生2名)を対象に、TOEIC問題Part3、Part4 を英語二重課題として実験を行い、学生が問題に取り組んでいる時の視線追跡実験と自律学習支援を実施する. 特に、学生の自律的な学習方策の継続性と学習支援の有効性,研究の再現性を検証するために、実験協力学生複数名に対し、視線解析実験を継続的に実施し、学習成果と学習方策の変化を追跡調査する. 本研究成果を研究分担者と学協会にて発表し,新規の知見を共有化するとともに、先行研究調査を推進し、研究の妥当性、信頼性を高める.
|