研究実績の概要 |
高等教育におけるデジタル教科書の有用性・有効性の全体像を浮き彫りにするためには,(1)学習媒体として,優れたデジタル教科書の満たすべき条件,(2)専門知識の養成を目指す大学などにおけるデジタル教科書の意義とその展望,(3)学習意欲を増進させるデジタル教科書・教材を導入したICTを中心とした学習環境の特徴,以上の三点を明らかにする必要がある。このような取り組みを確実に実施するために,研究期間内に【開発】,【実施】,【調査・分析】,【考察・公表】の作業を順次展開し,研究を進める所存である。 研究開始に当たる本年度は【開発】に的を絞り,アムステルダム大学病院耳鼻咽喉科のJochen Bretschenider教授の協力を得て,イタリア人のネイティブが発音するイタリア語の子音・母音のMRI(磁気共鳴画像法)を撮り,発音が添えられている42本の動画を作成した。左記の動画は,報告者がすでに作成したイタリア語発音のアニメーション動画とともに,インタラクティブな練習付きのイタリア語発音デジタルハンドブックにまとめて発表する予定だったが,新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,至急,リモートラーニングの環境でアクセスできる限定コンテンツとして公開された。作成したイタリア語の発音法の概要,アニメーション動画,MRIスキャンの動画は,発音とスペルの上達を目指すインタラクティブな練習問題とともに学習者に提供されたが,学習を多面的にサポートするデジタル教材を導入したICT環境のいくつかの特徴を明らかにする上で一光を投じたと思われる。
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