研究課題/領域番号 |
20K00798
|
研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
アルベリッツィ V.L. 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60630910)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 和伊語彙集 / 音楽用語の和伊・伊和辞典 / 現代イタリア語の和伊・伊和辞典 / 単語学習 / デジタルコンテンツ / 和伊対照研究 / 教育工学 / 教材設計 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の流行及びその影響に伴い,本年度の研究も遠隔教育の環境で利用できるコンテンツの開発にさらなる力を入れる必要性が生じた。 前年度に引き続き,学習者のニーズに合わせた教材を提供するため,学習媒体として,優れたコンテンツの満たすべき条件を探求する【開発】という作業を進めた。さらに,対面授業でタブレット型端末と開発されたデジタル教材などを活用した授業の実践研究を行うことが不可能だったため,作成された教材を大学が提供したLMS上で受講生に限定公開し,専門知識の養成を目指す大学におけるデジタルコンテンツの意義とその展望を追究する【実施】という作業を展開した。その結果,動機付けの変化および学習体験の満足度について学習者からのフィードバックをもとに,【調査・分析】に関する有力なデータを得ることができた。具体的に,本年度は「語彙」というテーマに的を絞り,下記の取り組みを中心に作業を行った。 (1)音楽用語インタラクティブ辞典 イタリアにおいて,或いはイタリア人に音楽に関する専門指導を受ける際,自分の表現力が不足していると痛感した学習者の要求に応えるため,音楽に関する一番使用頻度の高い700用語を収集し,18カテゴリーに分類した後,Quizletというオンライン単語学習ツールで限定公開のインタラクティブ辞典を作成した。 (2)現代イタリア語インタラクティブ辞典 最近の10年間にイタリアで出版された主な教科書,また『実用イタリア語検定試験』の5・4・3級で採用されている単語を割り出し,Sciaroneと De Mauroが発表した使用頻度別の単語リストとの対照的な調査を行い,現代イタリア語において一番使用頻度の高い2.600基礎語彙を特定した。基礎的なコミュニケーション能力の定着を重視して,選抜された単語はQuizletで限定公開のインタラクティブ辞典にまとめて,学習者に提供した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,報告者のエフォートは学習者が円滑にオンラインで利用できるリモートラーニングの環境構築に注がれていたため,本研究は【公表】に関してはやや進行に遅れをきたした。その一方で,開発されたデジタルテキストブック向けの個別コンテンツは,各学習管理システム(LMS)で利用できるよう転換し,学習者に提供することができたため,研究次年度以降,学習者から得たフィードバックをもとに,研究次年度以降,改めて本研究の貴重な材料として活用することができる。なお,学会などで着実に研究成果を発表するために,研究期間の一年間延長を申請する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が終息しない現時点においても,対面授業の復帰に伴い,【実施】にさらなる力を入れて,学習意欲をデザインするために何が必要かという課題について得たデータを活用し,より細密な【調査・分析】を行い,作成されたコンテンツの見直しを図り,改善し,公開するほか,状況が許す限り学会で発表し,研究誌への投稿も考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,予定していた旅費や物品の購入を見合わせたためである。次年度は本研究の実施に当たり,計画通り,購入を企図していた物品などに使用する予定である。なお,感染状況などにより,学会(特に海外において)への参加などが困難な場合は,旅費の予算は図書や設備備品に充てる所存である。
|
備考 |
上記のほか、『〔改訂版〕伊和基礎辞典』も公開されている。
|