研究課題/領域番号 |
20K00799
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大場 浩正 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10265069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教員養成課程 / 中等英語科導法 / PBL / 思考力・判断力・表現力 / 主体的・対話的で深い学び |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教員養成系大学において中学校教員免許状(外国語)を取得するための必修科目である「中等英語科指導法」を履修している大学生と大学院生が、「プロジェクト学習(PBL)」のプロセスに基づいて、中学生を対象とした英語学習教材とその指導法を開発することを通して、主体的・協働的な学習者をなることを目指した実践を行うことである。 授業におけるプロジェクトでは,63名の大学学生(43名)と大学院生(20名)が基本4人1チームとなり(学部生11チーム、大学院生5チーム),チームが設定した課題に基づき、中学生が心を動かされ(ワクワクし)、英語に興味を持つような教材を作成し、学生間でプレゼンテーションと評価(自己と他者)を行った。昨年度同様、プロジェクトの遂行においては,まず、詳細な「プロジェクト企画書」(①プロジェクト名、②プロジェクトの最終ゴール、③課題を解決のための調査と実行,④プロジェクトの価値、⑤情報源、⑥活動計画、⑦身につけたい力)を作成し、その後、実際に教材開発を行った。 作成された教材のテーマは「偏見」「ジェンダー」「聴覚障害者へ目を向けること」「地域おこし」「コロナ関連」など教科書やSDGsに基づくテーマだけでなく、社会的に広い課題が含まれていた。昨年の予備調査同様、学生たちは指導案の書き方やルーブリック評価表の作成方法および英語表現のみならず,課題(問い)設定やその解決に向けた調査(外部への取材などを含む)を通して多くのことを学び、チーム内での協働性を発揮し,主体的に行動できるようになった様である。しかし、学習者主体とは言え、チームワーク良く活動できなかったチームもあった。今後の協同的な学びの環境設定に課題が残った。また、今年度も昨年度に引き続きコロナウィルス感染症対策のため,開発した教材と指導法を用いて実際に中学校で実践することが出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、予備的実践およびそのデータを収集し、本実践への強みと課題を浮き彫りにすることであった。予備的実践は,中学校現場での実践を除き、当初の予定通り進めることはできた。また、8月には,その成果を大学英語教育学会で口頭発表(オンライン)することもできた。しかしながら,予備的な実践を含め、本実践においても学習者の毎回の振り返りや最終的な振り返りを質的に深く分析することはできなかった。さらに深い質的な分析により、学習者のPBL学習による概念的・情緒的な変化を探っていく必要がある。さらに、今年度もコロナウィルス感染症対策のため、開発した教材と指導法を用いて実際に中学校で実践することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本調査1(今年度の実践)におけるデータを質的に分析する。そして、学習者のPBL学習による概念的・情緒的な変化を探っていく。また、この2年間の実践を踏まえて、後期の授業において更なる実践を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症の対策のために,予定していた学会、研究会および研修会がキャンセルか延期、あるいはオンランとなり,旅費として考えていた経費を使うことができなかった。今年度,学会等が開かれるようになれば,旅費として使用しますが,開かれない場合は人件費(データ分析補助)や消耗品費にまわす予定である。
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