研究課題/領域番号 |
20K00799
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大場 浩正 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10265069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プロジェクト学習(PBL) / 教員養成課程 / 中等英語科導法 / 思考力・判断力・表現力 / 主体的・対話的で深い学び / 協働性 / 自律性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教員養成系大学において中学校教員免許状(外国語)を取得するための必修科目である「中等英語科指導法」を履修している大学生と大学院生を対象に、「プロジェクト学習(PBL)」の手法に基づき,中学生を対象とした英語学習教材とその指導法の開発が,参加者をどのように主体的・協働的な学習者に育成するのかを調査することである。 2022(令和4)年度のプロジェクトでは,48名の学部3年生と14名の大学院生が,4人1チームとなりチームが設定した社会的な課題等に基づき、中学生が心を揺さぶられ、英語学習に興味を持つような教材を開発し、学生間でプレゼンテーションと評価(自己と他者)を行った。詳細な「プロジェクト企画書」の作成にも時間をかけた。 開発された教材のテーマは「ゴミ問題」や「食料問題」等,今日的な課題であり,かつ英語教科書でも取り扱われており,中学生の普段の学びと合致している教材が多かった。昨年度の実践でも学生たちは指導案の書き方やルーブリック評価表の作成方法,および英語表現のみならず,課題(問い)設定やその解決に向けた調査(外部への取材などを含む)を通して主体的に多くのことを学び、チーム内で協働的に行動できるようになった様であった。しかしながら、今年度も参加者の毎回の「振り返り」を分析すると,上手く協働的に活動できなかったチームもあり,今後の協働的な学びの環境設定に課題が残った。また、今年度も昨年度に引き続きコロナウィルス感染症対策のため,開発した教材と指導法を用いて実際に中学校で実践することが出来なかった。 この3年間で3度のプロジェクトを行い,多くのプロジェクトチームからデータを取集することができた。今後は,データの詳細な質的分析を通して,年度の比較を含めた「プロジェクト学習」の効果を検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、3回目のプロジェクト実施であった。実践自体は中学校現場での実践を除き、当初の予定通り進めることはできた。しかしながら,前2回のプロジェクトのデータ分析が進まず,学会での発表も行うことができなかった。さらに、今年度もコロナウィルス感染症対策のため、開発した教材と指導法を用いて実際に中学校で実践することが出来なかった。 今後は,3回の実践における学習者の毎回の振り返りや最終的な振り返りを,質的に深い分析により、学習者のプロジェクト学習による概念的・情緒的な変化を探っていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2022(令和4)年度の実践データを中心に,2020(令和3)年度と2021(令和4)年度のデータを含め,質的なデータの経年比較を通して学習者のプロジェクト学習による概念的・情緒的な変化を探っていく。 分析予定のデータは,(1)毎時間の振り返り,(2)プレゼンテーションへの他者評価とコメント,および最終的な振り返り(プロジェクト学習による中学校英語教材開発に対する)である。2023(令和5)年10月に開催予定の「日本教科教育学会」でその成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症の対策のために,予定していた学会、研究会および研修会等がオンラン開催となり,旅費として考えていた経費を使うことができなかった。今年度は,参加や研究発表を予定している学会等の多くが対面で開かれる予定であるので,旅費として使用する予定である。
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