研究課題/領域番号 |
20K00799
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大場 浩正 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10265069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プロジェクト学習(PBL) / 教員養成課程 / 中等英語科指導法 / 思考力・判断力・表現力 / 主体的・対話的で深い学び / 協同性 / 関係性 / コミュニケーション能力 |
研究実績の概要 |
2023年度においては、主に2022年度後期の授業で行った実践のデータを分析・考察し、日本教科教育学会において口頭発表を行った。 具体的には、教員養成系大学に学ぶ学部学生たちが,教科の指導法に関する科目である「中等英語科指導法(授業論)」をプロジェクト学習(PBL)に基づいて学ぶことによって,将来の教員として求められる資質・能力(対人関係能力やコミュニケーション能力等)の何をどのように学んだのかを報告した。プロジェクトのテーマ(課題)は,「中学生が興味を持ち,あるいは心を揺さぶられ,英語を好きになる教材を作成し,それを用いた授業設計・模擬授業(実際に現場で使用できるレベル)を行うこと」であった。模擬授業は15分程度とした。教材作成の条件は,(説明中心ではなく)内容に焦点をあて,ストーリー性のあり,中学生が思わず内容に引き込まれ,そこで使用している英語表現に気づけるようなものとした。実践の実施期間は2022年度の後期授業(週1コマ)であり,履修学生は教員養成系大学学部3年生と大学院生であったが、今回は学部3年生35名を分析対象とした。学生たちはランダムに4名のチームを作り,活動を行った。 各チームが作成した教材のテーマは,食の問題,ジェンダーの問題,リサイクルの問題や動物保護の問題等,多岐に渡った。毎授業後の「振り返り」における主体的な学習へ向かう動機の高さ(10段階評価)に基づき、特に3チーム(全員が比較的高い、上下があり最終的にあまり上がらなかったチーム等)を選び、振り返りの自由記述からどのような学びが起こっているいるのかを探った。結果として、協同性や関係性,およびコミュニケーション能力(対話)における様々な学びが見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から2023年度の4年に渡り、4回の実践を行ってきたが、新型コロナウイルス感染症により、プロジェクト学習を活用し、教科書をベースにせず自由な発想で作成した教材や指導方法を用いて実際の中学校現場において実践することができなかった(最初の3年)。プロジェクト学習として、大学内の学習に留まるのではなく、実際の学校現場において実践を行うことで、プロジェクト学習の効果が実証できるが、実際には実行不可能であった。 従って、4年目では、当該の大学の授業をより中学校の教室に近いものと仮定して、より中学校の教科書ベースで教材と指導法開発のプロジェクト学習を行った。この4年目の実践の効果を分析することが出来ず、また、その前の3年間の成果をまとめる時間も取れず、さらには、それら2種類のプロジェクト学習の比較も現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
1年目から3年目までの実践研究のデータを再分析・考察し、その効果をまとめる。 4年目の実践の新たなデータを分析・考察し、その効果をまとめる。これら2つの研究成果を比較し、教員養成課程における英語教員養成におけるプロジェクト学習の効果についてまとめる。 幸い1年の延長が認められた。これらの分析と考察を進め、今年度中に成果をまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最初の3年間において、新型コロナウイルス感染症のため、学会が中止あるいはオンラインになり、旅費(特に海外の学会のための旅費)が大幅に残ってしまったため。
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