研究課題/領域番号 |
20K00805
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
飯村 英樹 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (30382831)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 再現 / 復唱 / 暗唱 / リードアンドルックアップ / 書き取り / ディクテーション / 書写 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,英語学習における再現を目的とした活動の難易度を明らかにすることである。 研究計画3年目である本年度は,インプットとアウトプットともに音声と文字を組み合わせた4つの条件下での再現活動を比較検証した。また本研究では,日本人英語学習者の多くが,英語の特徴である無生物主語の理解を困難としていることに着目し,主語の有生性(有生か無生か)と再現活動との関連性も調査した。 実験参加者は,日本人大学生18名であった。使用した英文は,6~12語で構成される単文を英検準2級レベルの単語集から抽出した。主語が有生の場合は “he” や “they” などの人称代名詞,無生の場合は具象性の高い単語(例. computers)と抽象性の高い単語(例. government)の両方を含めた。調査は被験者内実験計画により,復唱(音声→音声),書き取り(文字→音声),暗唱(文字→音声),書写(文字→文字)の順で行った。 実験の結果,英文を音声提示する復唱や書き取りが,英文を文字提示する暗唱や書写よりも難しいことが示唆された。すなわち記憶した英文を音声で再現する(口頭)か文字で再現する(筆記)かというアウトプット段階の違いよりも,英文を聞くか読むかというインプット段階の違いが,再現タスクの難易度に影響を与えていることが示された。また語数の影響はタスクによって異なることが明らかになり,書写,暗唱,書き取り,復唱の順で影響を受けることが示された。さらに主語の有生性については,いずれのタスクにおいても無生主語が有生主語よりも再現が難しいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験の実施から分析,発表までを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,4つの再現活動すべてを1人の参加者に行ってもらう被験者内実験計画で進めることができた。しかし収集したデータが18人分と少ないため,実験結果の一般化が難しい。来年度は参加者を増やして追実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会がオンライン開催だったため,旅費の使用が少なかった。来年度は対面による開催が予定されているため,旅費が増える見込みである。
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