研究課題/領域番号 |
20K00808
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
WATKINS 聡子 神田外語大学, 言語教育研究所(Self-Access Learning Center), 講師 (90837965)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学生リーダーシップ / 学習者オートノミー / ラーニングコミュニティ / 実践共同体 / アドバイジング / 自律学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、英語教育において、学生の主体的かつ能動的な学びの機会を増やし、学習者オートノミー(学習者が自身や学習過程を深く理解し、学びに責任を持つ能力)を促進することを目的とし、学生主導型ラーニング・コミュニティの普及と、それに伴う学生リーダー育成のためのコースの開発を行う。コースでは、学生リーダーが自身のオートノミーを育むだけではなく、他者のオートノミーを養成する力を身につけることが、コミュニティの拡大と持続に必要なことと捉える。 2021年度においては、大学自律学習センターにて、リーダーシップコースを受講した学生のナラティブ研究を出版し、学生のリーダーシップの概念は「権威的リーダーシップ」のようなトップダウンのスタイルに偏っており、自分とのスタイルの違いにプレッシャーを感じていたこと、ジャーナルとアドバイザーとの対話を介した意識的な内省の習慣化が学生リーダーの自信に繋がり、またプロソーシャルな行動に繋がるということを発表した(Watkins, 2021)。その研究結果は、日本自律学習学会においても発表した。また、学生主体ラーニングコミュニティ参加者の基本的心理欲求(有能感、オートノミー、関係性)の充足の研究では、当コミュニティは、基本的心理欲求を満たす学習環境を提供し、参加は学習者の内発動機付けに結びつくことを「授業外における学習者オートノミーサポート・自己決定理論の見解」という本の一章として出版した(Watkins, 2022)。さらに、他教育機関におけるリーダーシップコースのニーズの調査では、2022年から研究分担者として追加した研究者の学習施設における、学生リーダーの育成について協働で内省と分析を行い、その内容は寄稿済・査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、続くコロナの影響により、出張を伴わない研究項目1である「本研究機関におけるコミュニティリーダー育成コースの実践研究」の継続と、zoomを活用した研究項目3「他教育機関におけるリーダーシップコースのニーズの調査」を開始した。項目1におけるナラティブ研究では、コース参加者が自分達のリーダーシップに影響を与えた概念とその過程について既に出版済みであり(Watkins, 2021)、その内容を元に、リーダーシップコースの内容は改訂され、4回目の開講を終えた。項目3においては、2022年から研究分担者として追加した研究者と共に協働で内省と分析を行った。研究分担者が勤めている、セルフアクセスセンターにおける学生リーダーとセルフアクセスセンターコーディネーターの関係性や学生支援について分析し、その内容は寄稿済みである(共著)。これらの研究結果は、実践研究に使われているリーダー育成コースを改訂する際に使われた。また、その編集されたコース教材は、今後、他教育機関においても活用できるように、応用可能なコースブックとして、さらに改訂される。出版社には、既に案を提出し、出版が決まっている。 その他、学生主体ラーニングコミュニティ参加者の基本的心理欲求(有能感、オートノミー、関係性)の充足の研究では、コミュニティへの参加は、基本的心理欲求を満たす学習環境を提供し、学習者の内発動機付けに結びつくことを発表した(Watkins, 2022)。さらに、本研究において重要な概念である、ピアサポートについては、2022年出版予定の本の一章にまとめ(共著)、現在査読中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目1である「本研究機関におけるコミュニティリーダー育成コースの実践研究」は、大学内の様々な立場にある学生リーダーに受講対象者を拡大し引き続き行い、他の研究項目の結果を元に編集を繰り返しながら、コースの応用性を試す。次に、研究項目2である「国内外の関連する施設の実践共同体の視察」については、今までコロナ禍につき出張が許されず進行していなかったが、2022年度はブラジル・パラ国立大学セルフアクセスセンターにおいて、学習者主体ラーニングコミュニティの視察を予定している。その際には、1)そのコミュニティが有効かつ持続可能である要素、2)コミュニティ学生リーダーの役割、3)コーディネーターが行っている学生サポートについて調査する。さらに、現在査読中である、項目3「国内教育期間におけるニーズ分析」についての論文については、出版後に国内の学会にて同内容を発表する。最後に、本研究の最終形態である、「他教育機関に向けた応用性のあるカリキュラムの開発」においては、実践研究により編集を続けているコースの教材を、応用可能な内容とフォーマットに改善しつつ執筆を進め、出版社と相談をしながら2023年度の出版を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度の助成金は、主に、研究代表者のコンピュータが故障したため新しい物の購入費、追加された研究分担者の書籍と学会費用、研究項目2「国内外の関連する施設の実践共同体の視察」におけるブラジルパラ国立大学での視察のための渡航費に当てられる。
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