研究課題/領域番号 |
20K00810
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山下 巌 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (70442233)
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研究分担者 |
佐藤 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40402242)
横島 啓子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50369469)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フィンランド / 看護英語 / ウェブ型学習 / CSCL / 国際共同開発 / Zoom |
研究実績の概要 |
研究代表者の山下と分担者の横島は、Zoomを活用したJamk看護学科とのオンライン授業を持続的に展開し、本学部から9名、Jamkからは10名の参加者があった。教室での対面授業とオンラインでの授業を有機的に組み合わせた形での授業は、学生たちにとっても目新しく、大いに学習意欲を掻き立てることができた。順天堂大学の後期授業開始と共に、本研究のモデルを実施しその検証を行った。準備した3つのモジュールを1.公衆衛生看護学、2.高齢者看護学、3.在宅看護学の順番で12回にわたり受業実施した。 公衆衛生看護学では、高齢者のヘルスプロモーションや健康維持、介護保険制度や保健師による栄養指導について焦点を当て、高齢者看護学では、介護援助機器を含んだ介護ロボットの分類や、高齢者施設におけるロボット導入事例の紹介と今後の課題について話し合うことを目的とした。また、在宅看護学においては、これからやって来る2025年問題への対応策や訪問看護ステーションの充実などを話し合うことを目標に学習を進めた。3回実施したJamkとのZoomによるセッションは以下のよう3部構成で行った。 各セッション共に、フィンランドとの7時間の時差を考慮し、日本時間20:00~21:30、フィンランド時間13:00~14:30の時間帯で実施した。第Ⅲ部のBreakout Roomセッションは、各大学の参加学生は3つの部屋に分かれ、各々の大学から3人ないし4人の学生が参加できるようにした。また各部屋には、順天堂とJamkの学生の英語力の差を考慮し、研究代表者の山下、分担者の横島と佐藤がそれぞれ付き添う形で入室し、コミュニケーションの円滑化を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、フィンランドのユヴァスキュラ応用科学大学の看護学科との共同研究であるが、Covid-19のため、渡航ができず十分な情報交換と共有ができなかった。しかしながら、研究第1段階<7月~8月末>e-Learningプログラムの構築は、ZOOMを活用しつつ以下のように実施した。 順天堂大学看護学部「英語コミュニケーションⅡ」の受講生(2年生9名:TOEFL itpスコア450以上)とJamk看護学科国際コース(12名)とが、Jamk学内サーバ上に設定されたOptimaProというLMS(Learning Management System:学習管理システム)を活用し、介護ロボット・AIに関するプレゼンテーションや同期・非同期型のディスカッションができるe-Learningプラットフォームを構築し、その上での知識活用型学習と、教室での対面授業による体系的な探求型学習とを相補的に組み合わせた学習モデルの構築を目指した。 当初は、公衆衛生看護学、高齢者看護学、在宅看護学の3領域にわたって学習ニットを作り、授業を実施するつもりであったが、実際は全社二つのユニットの授業しか実施できなかった。 それでも、ZOOMでのプレゼンテーションやJamk学生とのディスカッションは、実り多く、日本人参加学生全員が英語力の向上と看護学における新たな視点を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は日本における看護学教育の現状を紹介したが、本来は、多国籍クラスならではの強さを活かし、様々な国の看護事情のプレゼンを行えるような授業を展開してゆきたい。そのためには、各モジュールの構成に手を加えなくてはならない。また、Jamkと順天堂大学の学生間での英語運用力に予想以上の開きがあった。事前指導が可能なプレゼンテーションにおいては、期待通りの成果があったと思われるが、Breakout Sessionにおいては、順天堂大学の学生からの自主的発言が少なく、各部屋に配置された英語教員が各学生から質問を引き出す工夫をしなくてはならない場面が多くあった。事後アンケートや事後反省会では、「自分たちが言いたいことはあるが、英語にならない」という意見が大勢を占めた。チャットボット等の補助プログラムを開発・設置することにより、こうした状況が緩和されることを期待するが、それにもまして、平素からの英語指導において欠けていた部分が正に指摘されたわけで、英語教員として内心忸怩たる思いである。「英語はあくまでツール」となる理想的な環境の再整備に向けて努力したい。 以上のことから今後はCOIL(Collaborative Online International Learning)型授業の可能性も模索してゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張を前提とする研究であるが、Covid-19のため、フィンランドの研究相手先大学に出張ができなかった。海外での研究発表(フランス)に出掛ける予定であったが、同じくCovid-19の影響で渡航が不可能となった。 以上の理由により、約600千円の費用を次年度に回すこととなったため。 次年度は、EuroCALLでの研究発表とフィンランドの研究協力校であるユヴァスキュラ応用科学大学およびLAB応用科学大学を訪問し、対面での研究打ち合わせを実施する計画である。また、国内では外国語教育メディア学会(LET)、異文化間情報連携学会(CINEX)での研究発表を計画している。
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