研究課題/領域番号 |
20K00815
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
鈴木 眞奈美 法政大学, 経営学部, 教授 (60583929)
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研究分担者 |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
安藤 直紀 法政大学, 経営学部, 教授 (50448817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グローバル人材 / 多国籍企業 / 英語運用能力 / コミュニケーション能力 / 専門能力 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、media synchronicity theory(コミュニケーションの認知的負荷と方法に関する理論)や認知神経科学に関する文献調査、ファジィセット質的比較分析(fuzzy set qualitative comparative analysis, fsQCA)の手法に関する先行研究を実施した。本研究チームで計14回の打ち合わせを実施し、研究の成果をまとめた。本研究の独創的な点は、以下の2点である。:1)管理職はリテラシースキルが重要で、他方非管理職はオーラルスキルが重要であることを実証的に明らかにした点;2)この結果をmedia synchronicity theoryや認知神経科学のbrain-drain modelにより説明した点。本研究の成果は、令和3年6月25日にオンラインで開催されたthe 34th Annual Online Conference of the Association of Japanese Business Studies (AJBS)で発表した。また国際的学術誌に投稿し、現在1回目の査読の結果に基づき再投稿の準備をしている。さらにこれまでに収集したデータを用いて、外資系企業に勤務する日本人の定職の有無と英語力、コミュニケーション能力、専門能力について分析して、その結果をまとめ、令和4年7月に開催されるthe 35th Annual Online Conference of the Association of Japanese Business Studies (AJBS)で発表予定である。この研究では、高いパフォーマンスを発揮する管理職は、仕事を5年以内に辞めているかどうかに関わらず、英語力、コミュニケーション能力、専門能力が高いことが明らかになった。また5年以内に離職している低いパフォーマンスの管理職は、在職している低いパフォーマンスの管理職に比べて、専門能力が低いことも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、以下の3点を目的としている。(1)多国籍企業で活躍することができるグローバル人材に必要とされる能力について分析する。グローバル人材に必要とされる能力について専門能力、コミュニケーション能力に関する文献調査を実施するとともに、分析に必要な統計手法に関しても先行研究を調査した。それらに基づき、すでに収集したデータを分析した結果をまとめ、令和3年6月25日にオンラインで開催されたthe 34th Annual Online Conference of the Association of Japanese Business Studiesで発表した。また国際的学術誌に投稿し、現在1回目の査読の結果に基づき再投稿の準備をしている。(2)必要とされる能力があるにもかかわらず、能力を発揮できない社員(渡り鳥社員)が存在する理由を、英語能力だけではなく他の能力や会社(組織)の特徴も分析対象に含めて明らかにする。多国籍企業海外子会社管理職を5年以内の離職の有無で、英語能力、コミュニケーション能力、専門能力に関して比較分析した。さらに、これまでのインタビュー調査や先行研究から渡り鳥社員を定義し、渡り鳥社員には多国籍企業にとって有意義と有意義ではない2種類に分類されることを示唆した。その結果は、令和4年7月に開催されるthe 35th Annual Online Conference of the Association of Japanese Business Studiesで発表予定である。(3)分析結果に基づき、応用言語学、経営学双方の立場から、特に日本人のグローバル化にとって真に必要な英語教育、研修の独創的かつ革新的モデルを構築する。令和3年度は、本研究の成果をまとめ、発表する段階であり、まだモデル構築には至っていないが、モデル構築に向けてさらに精度の高い研究の準備を行った
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今後の研究の推進方策 |
1)本研究をさらに発展させるために社会学、心理学など社会科学の基礎分野をはじめ、国際経営、応用言語学、統計学の専門分野に関連する研究の最新動向の文献調査を引き続き実施する。 2)本研究のこれまでの成果を国際学会 (Association of Japanese Business Studies)で発表する。 3)本研究のこれまでの成果を基にさらに精度の高い質問票の作成、調査の実施、分析を行う。なお、研究の対象は、日本以外の多国籍企業の子会社とする。 4)研究成果を国際学会で発表し、専門家からの意見や助言を受け、研究成果を論文にまとめる準備をする
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナウィルス問題発生のため、参加予定の海外での国際学会が参加できなくなったこと、当初予定していた外資系企業インタビュー調査が実施できなかったため。また質問票調査もコロナ禍という特別な状態で実施することは、研究結果にバイアスが生じる懸念があり、できればコロナ後に実施した方が良いと判断したため。 (使用計画)オンラインで開催される学会やコロナ禍が改善されるならば、国内ならびに海外で開催される学会に参加するための参加費として使用予定である。また質問票実施もコロナ禍が解消されれば、実施する予定である。
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