研究課題/領域番号 |
20K00821
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田浦 アマンダ 摂南大学, 国際学部, 准教授 (60388642)
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研究分担者 |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
ヒーリ サンドラ 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (10460669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アイデンティティー / 日英バイリンガル / 帰国高校生 / ナラティブ |
研究実績の概要 |
2020年に海外子女教育振興財団の協力を得て、東京・名古屋・大阪在住の英語圏からの帰国高校生13人からインタビューデータを収集できた。 2021年度に膨大なデータの書き起こし作業を完了させた上で、SPSS text analytics, NVivo, KH Coderを用いた定量分析を終えた。具体的には各帰国生からのインタビュー中の頻出単語の抽出とその文脈の抽出を行い、各個人の特徴と13人全体の特徴を捉えることができた。 2022年度には、2021年度に行った書き起こしデータの質的分析を行った。解釈的現象学的分析(interpretative phenomenological analysis)手法を用いて分析した結果、幼少期を英語圏で過ごした後で帰国した生徒達は、日本社会や日本での学校生活に適用する過程でいじめや無視を多少なりとも体験するが、外国語保持教室に通って同様の体験をした仲間と交わることで、英語圏文化でも日本文化でもない独自の文化に所属している、つまりthird culture kidとしてのアイデンティティに繋がっている事が判明した。 これは旧来の異文化教育学分野での知見に合致しており特に目新しくはないが、これだけグローバル化が進む世の中でも、まだまだ40年前の帰国生が直面した日本帰国時の状況から大きく変わっていない事が詳らかになった。この質的分析結果は、論文として2022年度に公刊できた。 当初の計画通り、最終年度の2023年度には、13人の帰国生からのインタビューデータの量的・質的分析を統合した総合考察に取りかかる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年に収集した13人の帰国高校生からのインタビューデータを、2021年度に書き起こしを完了させた上で、SPSS text analytics, NVivo, KH Coderを用いた定量分析を終えた。2022年度には書き起こしデータを質的に分析して、その結果を論文化まで終えた。当初の計画通り、最終年度の2023年度には、量的・質的分析を統合した考察に取りかかれるまで進める事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、帰国生のアイデンティティーに関して収集したデータを質的に分析し終えたので、最終年度は量的分析結果と統合した考察を行い、本研究のまとめとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を発表し、専門家からのフィードバックを受けるために2国際学会に参加する予定であったが、いずれもコロナ禍の為にon-line開催となり旅費が次年度先送りとなった。コロナ禍の為に延期になっていたバイリンガリズム学会と世界応用言語学会が2023年度に開催され、研究成果が採択されたので、ここで発表することでフィードバックを得て最終年度のまとめに生かす。
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