2020年度は、コロナ対策として勤務先の授業がオンライン授業となった。当時は紙の多読図書しかなく、多読と実証研究の実施が困難になったため、計画を大幅に変更し、以下の二点を遂行した。(1)電子の多読図書を購入し、次年度以降オンラインでも多読指導を行える体制と環境を構築し、(2)多読が付随的語彙学習に与える影響を言語データからも分析できるように、多読の初期段階で使用する主要シリーズのコーパスを作成した。 2021年度には、多くの授業がハイブリッド形態で行われたため、紙の図書と電子図書を併用して多読を行い、前期の最初と最後に語彙サイズテストを実施した。学期の最後には英語の読み方と選書傾向に関する質問紙調査を行った。過去の研究に基づき、多読図書内で出会った未知語を学習者間で共有させる指導を行った。また、前年度の構築したコーパスと一部関連づけ、YLとLexileの相関分析を論文にして、翌年に学術誌で発表した。 2022年度には、授業は週4日が対面、週1日がオンラインで行われた。対面で行った2クラスにおいて、多読を採り入れ前期の最初と最後に語彙サイズテストを実施し、学期末には前年と同じ質問紙調査を実施した。また、前年度の実証研究による語彙サイズの変化を、多読量、英語の読み方、元々の語彙サイズの観点から分析を行い、その結果を2019年度に行った結果と比較した。さらに、前年度のデータを活用し、図書媒体(紙か電子)の選好が語彙サイズの伸長や英語の読み方に与える影響を論文にまとめ、翌年に学術誌で発表した。 1年延長した2023年度には、なるべく多くの語数を読ませる指導を行った2019年度と、未知語への注意を高める指導を行った2021年度の間で、語彙サイズ伸長と英語の読み方の差を分析し、論文にまとめ査読審査を受けている。また、コーパスを使った研究を進め、2024年に学術誌で出版されることが決まった。
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