本研究の目的は、多読が語彙サイズの伸長に与える効果の検証と、その効果を高めるための指導法の探究である。参加者は大学3~4年生(A1~B1レベル)で、15週間の多読指導を受け、約35,000語を読んだ。語彙サイズテストを多読の前後で行ったところ、多読前の英語力、読語数、図書媒体(紙か電子か)の選好の違いによって多読後の語彙サイズの伸長に顕著な差は生じなかった。しかし、未知語に注意を払って読ませる指導をしたことで、多くの語数を読ませた時と比べ有意に語彙サイズが大きく伸びた。本研究により、未知語に注意を向けて読ませる指導を多読に組み合わせることは語彙サイズの効果的な伸長につながる示唆を得た。
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