研究課題/領域番号 |
20K00835
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
水上 嘉樹 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60322252)
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研究分担者 |
野村 厚志 山口大学, 教育学部, 教授 (40264973)
猫田 和明 山口大学, 教育学部, 准教授 (90379917)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 英語教育 / moodle / モチベーション理論 / グループ学習 / Web学習システム / アクティブラーニング |
研究実績の概要 |
モチベーション理論に基づいた英語学習支援システムの実装を行い、被験者を募った実証実験を実施した。 英語学習支援システムの実装については、Webブラウザ間の通信方式としてWebRTCを用いるSkywayおよびwebsocketを用いるFirebase(realtime database)の2つの方式を安定性および通信速度の観点から比較した。前者がブラウザ間でパケットを送受信する通信方式であるのに対して、後者はブラウザからサーバ上のデータベースを更新すると他のブラウザに更新結果が共有される通信方式である。どちらの通信方式もほぼ同等の通信速度や帯域を備えていることが確認された。但し、ネットワークの通信状態が不安定な場合においては、後者の通信方式は接続が復旧した後にデータベースにアクセスすることで他のブラウザと同期できることが利点である。ここでの知見を踏まえて、後者の通信方式であるFirebase(realtime database)を通信基盤とした英語学習支援システムの再実装を完了した。 実証実験は、模擬授業(16週分)および模擬授業の開始前と終了後のTOEIC IP受験を含む。当初、参加者は15名であったが1名が個人的な理由から離脱したために、全ての模擬授業と前後のTOEIC IPを受験した被験者数は14名であった。得られた結果として、16週の模擬授業において計測された被験者のディクテーション能力の向上は良好であったことが明らかになった。さらに、TOEIC IPの受験日に体調が整わなかった5名を除く9名のスコア変化について分析を行ったところ、平均で60点以上のスコアの改善が得られたことと、特にリスニングパートでの改善が大きかったことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に予定していた実証実験(第1回)を今年度実施することはできたが、新型コロナの影響で十分な人数の被験者を募集することが出来なかった。被験者謝金に該当する人件費の残額を繰り越すことで、2022年度に十分な人数の被験者を募集した上で改めて実証実験(第2回)を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に得られた実証実験(第1回)の結果について学術雑誌への投稿準備を行う。実証実験(第2回)については、2022年度は40名以上の被験者を募集して実施する予定である。加えて、システムの運用試験と安定性の改善作業を継続する。さらに、システム運営上のセキュリティ対策について検討を行う。特に、英語能力(ディクテーション能力)を数値化するための計測モードで使用する問題文の流出を回避するために、Moodle以外の認証システムを含めた実装についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために2020年度から今年度(2021年度)に持ち越された英語学習支援システムの実証実験(第1回)を無事実施することができた。しかし、コロナが終息していないことから広く希望者を募ることが出来ず、想定人数50名を下回る15名の被験者のみが実証実験に参加した。これにより、謝金に相当する人件費が次年度(2022年度)使用額となった。当初、実証実験(第2回)は2021年度に実施する予定であったが、上記の計画の後ろ倒しにより2022年度にを実施することとし、今回生じた次年度使用額を被験者謝金として使用することとする。
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