研究課題/領域番号 |
20K00841
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
八木橋 宏勇 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (40453526)
|
研究分担者 |
花崎 美紀 法政大学, 情報科学部, 教授 (80345727)
吉川 厚 東京工業大学, 情報理工学院, 特定教授 (50444120)
花崎 一夫 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (40319009)
菊池 聡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (30262679)
多々良 直弘 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 准教授 (80383529)
藤原 隆史 松本大学, 教育学部, 講師 (10824097)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 英語教育 / 論理的思考力 / 効果測定テスト |
研究実績の概要 |
本研究は、英語学修を通して論理的思考力を伸張させる教育手法とその効果測定テストの開発を目標にしている。論理的思考力の涵養は、日本の教育界における喫緊の課題の一 つであるが、未だ確たる足掛かりは築くことができていない。とりわけ、英語教育においては、英語力の育成はもちろんのこと、いかに論理的思考力を学習者に内在させるか、その教育手法と学修成果測定ツールの開発は大いに期待されている。 上述のとおり、喫緊の課題の一つではあるものの、論理的思考力の涵養が計られていない根本的な要因は、そもそも「論理的思考力とはどういう能力なのか」が学術的に定義されておらず、教育現場の観点から言えば「目指すべき論理的思考力というゴールが見えない」ことだと想定される。したがって、本研究では、①「論理的思考力とは何か」を精確に突き止めること、②英語学修を通して論理的思考力を育成する教育的手法を開発するために「どのようにしたら論理的思考力を伸ばすことができるのか」を探求すること、③教育効果の適切な測定を目指すため「論理的思考力の伸張をいかに測定するか」を導き出すこと、以上3つの問いに最善解を与えることを目指している。 初年度(2020年度)は、一部先行実施してきた「英語による論理的思考力テスト」の精査・問題点の整理と検討からスタートした。その結果、「ウェブ実施する世界規模のテスト」や「インタビュー調査を含む現地実施のテスト」(日本・イギリス・マレーシア)開発に向け、研究協力者の対象を絞ることやテストの多言語化など、多くの手直しが必要であることが浮き彫りとなった。研究代表者・研究分担者が新型コロナウイルス感染症へ対応に追われた事情と合わせて、上記「英語による論理的思考力テスト」の見直しと手直しが、当初の計画から遅延が生じる要因となったものの、これは本研究の質を担保するためには必要な措置であったと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、4か年にわたる研究計画の初年度であったが、「やや遅れている」状況である。本プロジェクトが目指す「論理的思考力を学習者に内在させる教育手法と学修成果測定ツールの開発」には、一定数の良質なサンプルデータが必須である。そのためには「テスト開発のためのフーレームワーク」と「設計書であるブループリントの開発」が肝要であり、英語テスト開発を経験している藤田元氏(合同会社カノープス)や、15カ国において教育実践やテスト配信を行って来たAvant社(アメリカ)とともに、日本を含む各国でも通用する論理的思考力測定の尺度の開発に向け意見交換を行った。当初は、一部先行実施してきた「英語による論理的思考力テスト」を援用して「ウェブ実施する世界規模のテスト」や「インタビュー調査を含む現地実施のテスト」(内円圏:イギリス、外円圏:マレーシア、拡大円圏:日本)を実施する予定であったが、上記意見交換の過程で、研究協力者の対象を絞ることやテストの多言語化など、多くの手直しが必要であることが浮き彫りとなった。研究代表者・研究分担者ともに各所属機関における新型コロナウイルス感染症への対応に追われたことも相まって、計画調書における研究方法に修正を加える必要が生じたことから遅延が生じた。また、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に終息の見通しが立っていないことから、「インタビュー調査を含む現地実施のテスト」については大幅に見直さざるを得ず、さらに計画が遅れることも予想される。できるだけオンラインに切り替えて実施するなど、研究計画の一部を見直すことで、プロジェクトの完遂を目指していく。
|
今後の研究の推進方策 |
英語の多様化は周知の事実であり、3つの異なる円圏では英語の姿も英語との関わり方も異なるため、より精確な実態把握には各円圏でのデータも必要である。事実、先行実施した「英語による論理的思考力テスト」(2013年3月~2016年1月)において、英語力と論理的思考力には有意な相関が確認されている。 以上を踏まえ、現在「ウェブ実施する世界規模のテスト」と「インタビュー調査を含む現地実施のテスト」(内円圏:イギリス、外円圏:マレーシア、拡大円圏:日本)の実施に向け、ベースとなる「英語による論理的思考力テスト」の精査と改良、および多言語化を進めているところである。これは、本プロジェクトが目指す「論理的思考力を学習者に内在させる教育手法と学修成果測定ツールの開発」には必須のテストである。当初の計画では、研究代表者のもとに2つの班(「論理的思考に関する要因特定・教育手法開発・実施班」と「論理的思考に関する効果測定法開発・実施班」)を置き分業制を敷くこととしていたが、上記テストの精査と改良・多言語化には膨大な時間がかかることが見込まれるため、相互に協力しながらできるだけ早期の完成・実施を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症への対応による研究の遅延に加え、本プロジェクトで重要な位置を占める「ウェブ実施する世界規模のテスト」と「インタビュー調査を含む現地実施のテスト」(内円圏:イギリス、外円圏:マレーシア、拡大円圏:日本)について、大幅な研究計画の見直しが必要となったことから、設備備品費・旅費・人件費・謝金のいずれにおいても支出が繰り越しとなったため。新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、令和3年度以降に順次支出の予定である。
|