研究課題/領域番号 |
20K00844
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
林 明子 中央大学, 文学部, 教授 (60242228)
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研究分担者 |
羽根 礼華 中央大学, 文学部, 准教授 (50757789)
坂本 真一 立教大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (50847837)
川喜田 敦子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80396837)
西出 佳詩子 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 講師 (90817066)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学術ドイツ語 / 授業実践 / 導入文献の読み / 音読 / 分析的読み / メタレベル |
研究実績の概要 |
本研究では「学術ドイツ語」を専門分野の教育と研究を支える言語変種として捉える。そして言語学・文学・歴史学の3つの専門分野での「読み」の習得に焦点を当てている。研究活動の流れは、ア)導入文献の分析から教材化へ(分野別そして分野間協同へ)、イ)教育実践と実践結果の検証(分野間協同)、ウ)大学教育における学術ドイツ語の習得に関する提案(分野横断的な見地から)に区分される。2020年度はア)イ)に取り組んだ。 2020年度は、構成員が互いに研究の進捗状況を共有しながら、各分野の活動を進めた。その1つが、学術ドイツ語という新しい言語変種への「橋渡し」と各専門分野への「橋渡し」という二重の役割を担う「ドイツ語原書講読」での取り組みである。「読み」の中でも音読に着目し、専門分野での学術ドイツ語の読解に向けて、テクストを分析しながら読む力を養うための音読活動を授業実践に取り入れ、検証を試みた。教材分析から授業実践、成果統括という一連の活動を文学分野の担当者が行うとともに、他分野からも分析・考察に参加した協同作業であった。 各分野については次の通りである。言語学分野では、導入文献(ドイツ語で書かれた言語学入門書)を用いて、音読と分析的読みの双方を取り入れた授業について観察結果を分析・考察した。その成果は、中央大学文学部『紀要 言語・文学・文化』128に、「メタレベルの「気づき」から探る「読み」の役割 -ドイツ語文献を用いた言語学分野での実験的試み-」として発表した。歴史学分野でも、学術ドイツ語習得のプロセスを観察すべく、教材分析と授業実践に着手した。次年度以降の本格的な実践・検証と分野間協同活動の基礎となる成果である。また、本研究は専門分野の教育に軸足を置いての「学術ドイツ語」習得という立場を取るが、関係領域として「内容言語統合型学習(CLIL)」についても文献等による情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「専門分野での学術ドイツ語の読み」への橋渡しのレベル(ドイツ語原書講読)および言語学分野での分析については、研究成果の発信あるいはそれに至る直前の段階に達することができた。歴史学分野は、次年度に向けての準備が整った。その意味では、おおむね順調と言える。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下にあって、口頭発表を予定していた国際会議(第16回EAJS 国際会議)が中止(延期)されたり、ドイツの教育機関を実際に訪ねられなかったりしたなど、実現が困難となった計画もあった。
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今後の研究の推進方策 |
分野別および分野間協同の作業を継続する。2021年度は、歴史学分野での授業実践とそこから得られるデータの分析・考察(言語学分野との協同作業を含む)、文学分野でのデータ収集・分析などを予定する。2020年度の作業の結果、研究成果発信準備の最終段階にある「ドイツ語原書講読」についても論文を発表する。CLILの理論と実践についてのリサーチも継続する。本件については専門的知識を得るためのインタビュー活動も実施したい。新型コロナウイルス感染症の影響で延期された国際会議については、2021年8月にオンライン実施予定となっているので、そこで成果報告が可能となろう。しかし、ドイツの教育機関に実際に出向くことは引き続き困難な状況が続くと懸念される。また、内外から研究者を招聘してのワークショップ等、意見交換の場を設けたり、上述のインタビューを実施するにあたっても、オンライン開催を検討するなど、代替案を探ることになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響で、予定していたドイツ国内の研究教育機関での資料収集(専門的知識の供与を受ける、授業を参観するなど)ができなかったこと、また、研究分担者との打ち合わせ(特に地方在住者)がオンラインでの実施となり、参集しての協同作業(分析や討議)が実現できず、旅費を使用できなかったことによる。 次年度も国内外での移動が制限される状況が改善されるかは不透明であるため、当初計画に則った出張(旅費の使用)が危ぶまれる。逆に、オンラインでの対応がますます増える状況にあるので、オンライン状況に対応できる機器を購入したりするための物品費、オンラインで依頼するインタビューほか専門的知識の供与に関する謝金の支払い等に当てる。
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