研究課題/領域番号 |
20K00851
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
村上 加代子 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (00552944)
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研究分担者 |
村田 美和 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 講師 (00756330)
酒井 志延 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30289780)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小学校英語 / リテラシー / 語彙 |
研究実績の概要 |
2020年度は学習障害のある児童に関する先行研究調査および実態把握、そしてアセスメント項目の作成に着手した。研究代表者の村上は読み書きに困難さを訴える中学生への個別調査を実施し、「読み書き困難児童生徒の英語の音韻認識調査報告」をことばの科学会にて報告した。読み書きが苦手という共通するつまずきを持つ学習者の音韻意識の獲得状況はさまざまでありながらも、音節意識の低さやワーキングメモリの影響が考えられる課題の正答率の低下など共通する状況が確認された。 研究分担者の酒井は英語の音声に対する聴覚能力の発達の遅れが見られる児童を抽出するテスト開発に着手した。テストは3年生から6年生を対象とし、各学年別英語音声を聞いて,絵を選ぶ方式である。予備調査を経て修正を行い、全国の5校において,3年生253名,4年生247名,5年生229名,6年生228名の計957名で実施した結果,(1) 開発したテストは上位層と下位層の児童を識別することができた,(2) 開発したテスト結果が全国的に同様な傾向を示した,この検証により,妥当性も高いと考えられる。調査結果は児童英語教育学会に投稿した(査読中)。 研究担者の村田は、既に英語の読み書きの学習が進行している中学校において、パイロット調査を行った。公立の中学校において、中学2~3年の2クラス合計34名を対象とし、URAWSS-English及びURAWSS-Ⅱを用いて読み書きの検査を行い、日常の学習の様子との比較を行った。その結果、英語の綴りの点数が著しく低い生徒が数名見られ、彼らは共通して、音声に頼って学習を進めているという特徴が見られた。また彼らは、英語に対して苦手意識も強く持っているということも、アンケート調査より明らかになった。また、教員に対して、そういった生徒をどの様に捉えているかについても聞き取り、アンケート作成のための準備資料としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度はコロナ状況のため学校教員への聞き取り調査や児童の個別観察が叶わなかった。そのためアンケート項目の着手が遅れている。しかし語彙調査等は予定よりも進行しているため全体的には「やや遅れている」状況だといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は英単語の読み書きに関する下位スキルとして「音韻意識」「デコーディング」「語彙」と英語力の相関を中学生を対象として調査する。中学生を対象とする理由は、小学校では単語の読み書きまでが含まれていないためである。調査の結果から、英語力に影響する因子を特定し因果関係について統計的に明らかにする。そこで得られた情報をもとに、小学校児童への英語のつまずき予測テストとして、音韻意識課題、文字認識課題、聴覚語彙課題を作成する。以上は8月までに終了させる予定である。次に小学校においてパイロット調査を実施し回答の分析を行う。年度末までに、児童を対象としたチェックテストを完成させ、次年度に向けて協力小学校への連絡などを始める。同時に、学習障害のある児童および教員への個別聞き取りは夏休みから開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ状況により予定していた学会発表や調査に関わる旅費と諸経費を使用しなかったため。今年度は語彙調査や中学校での調査で作成した資料の送付、入力等にアルバイトを雇用するほか、パイロット調査に向けてアンケート用紙の購入や郵送費が予想される。また、教材研究のためipadを複数購入し音韻意識やフォニックスアプリを実際に児童に試用してもらう予定である。その際、ZOOMによるやりとりが主になることが予想されることから、ZOOMの通信費も計上する。
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