2023年度には、「個別化指導を工夫、検討、決定する際に考慮すべき重要な項目を『個別化指導プログラム作成チャート』として提案する」することも目的として、教育現場での協力を得てきた。11項目(①カタカナ習得・変換 ②カタカナ習得・音韻 ③アルファベット習得 ④音素分析・聴覚短期記憶 ⑤聴覚短期記憶・文字音同定 ⑥聴覚短期記憶 ⑦聴覚短期記憶 ⑧視覚短期記憶・音韻符号化 ⑨聴覚短期記憶・文字音同定・ワーキングメモリ ⑩聴覚短期記憶・音韻操作・ワーキングメモリ ⑪音韻符号化・語彙知識)からなる調査紙を使って、79名の高校生を対象として検討した結果、カタカナ音文字変換能力、アルファベット音文字変換能力、聴覚短期記憶、視覚短期記憶、ワーキングメモリの間に高い相関がみられることがわかった。これらの項目をチェックシートに挙げ、実際に日ごろから指導にあたる教員に、一人一人の生徒の英語能力(読み活動、書き活動、定期試験および外部模擬試験結果など)の観点から評価してもらった。その結果、これらの項目を評価することにより、学習者の躓きを予見できる可能性があることがわかった。 ただし、調査対象者数および評価協力者数が限定的であることが本研究尾限界点である。今後、さらに本調査紙の改善に努める必要がある。 本研究機関が2020年度からの新型インフルエンザ感染拡大の影響を受け、教育現場からの研究協力が得られない状況が長く続き、さらには休講や遠隔授業などで遅延した学習内容の補填のために、授業活動以外に費やす時間が十分に確保できなかったために、本来計画をしていた「中学校と高校における英文法や英語語彙の導入と定着、small talkを通した論理的な発信の習慣化に向けた個別化指導教材作成」まで至っていない。 よって、今後は具体的指導方法の開発を継続して進め、今回オープンしたHP上で発信していきたい。
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