研究課題/領域番号 |
20K00865
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
石川 正子 城西大学, 語学教育センター, 准教授 (10552961)
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研究分担者 |
鈴木 渉 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (60549640)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ランゲージング / アウトプット / 第2言語習得 / 外国語教育 / ライティング |
研究実績の概要 |
「ランゲージング」(Swain, 2006)とは、外国語学習者が疑問や問題に感じたことや自らの言語使用を振り返る際に、それらについて話したり、書いたりしながら、理解をさらに深めるプロセスである。ランゲージングは、それが口頭であれ筆記であれ、言語学習を促進することが報告されている。しかし、これまでの研究の問題点は、短期の実験室的な研究が主で、ランゲージングをどのように実際の授業に取り入れ長期的に活用するかはあまり検証されてこなかったことである。そこで本研究初年度の2020年度は筆記ランゲージングをオンライン授業に10週間にわたり取り入れ実践を行った。 2年目の2021年度は対面授業での教室実践を、事前テスト・処遇・事後テストのパラダイムで行った。選択式の事前・事後テストと筆記ランゲージングはMicrosoft Formsを用いてオンラインで実施した。授業の初めにその日学習する文法項目に関する事前テストを行い(5分)、通常の授業を行った上で (60分)、その日学んだ文法項目を含む英文について文法説明(筆記ランゲージングと定義)または同じ英文の和訳を課した(10分)。文法項目の難易度の違いが結果に影響することを避けるため、1クラスを2群に分け、両群が毎週交互に筆記ランゲージング、または、英文和訳を行った。毎授業の最後に、全員に事後テストを実施した(5分)。主な結果として、オンライン授業実践と同様に全ての週で事前事後テスト間に伸びがあったが、筆記ランゲージングを行った週と行わない週の伸長度には違いがほとんど見られなかった。また、筆記ランゲージングを行った週ごとの伸びの間にも差が見られた。これらの結果に考察を加えて、夏には全国英語教育学会第46回長野研究大会で口頭発表を行い、参加者から有意義なコメントを多数いただいた。それらを基に、更に考察を加えて論文を執筆し、年度末の出版につなげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍ではあるが、オンライン授業に続き対面授業でも筆記ランゲージングを実践したり、結果についてオンラインで学会発表にも結び付け、論文執筆につなげたため。
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今後の研究の推進方策 |
筆記ランゲージングの学習促進効果についてはある程度検証できているので、今後はいかにして多くの、質の高いランゲージングを引き出すことができるかに焦点を当てて、そのための指示の出し方を模索していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため申請時に計画していた海外学会発表や海外協力研究者の招聘などができず、次年度使用額が生じる結果となったが、今年度は対面での学会開催が行われる予定であり、海外研究協力者も招聘の予定である。
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