本研究の目的は、1) 研究と臨床の両側面から医学生が習得すべき具体的な医学英語運用能力を検討し、その到達目標が可視化できるCan-doリストを開発するとともに、2) 医学生が生涯にわたり継続的に自律的・省察的学習者となるために、「医学英語教育のためのポートフォリオ」を開発することであった。我々はまず1)を達成するために令和3年度に、昭和大学医学部に所属する臨床医および基礎医学研究者を対象に行った医学英語ニーズ調査から得られた結果を踏まえ、Can-doリストを完成させた。リストの各自己評価記述文は、昭和大学医学部カリキュラム検討委員会の「国際化と英語教育」ワーキンググループのメンバーである臨床医および基礎医学研究者数名と、東京医科大学副学長三苫博医学博士に校閲を依頼した。現在は、2022年度の学習成果を昭和大学医学部生が自己省察できるように、今年12月を目標に昭和大学電子ポートフォリオにこのCan-doリストを組み込むための作業を行っている。 このCan-doリスト作成の基盤となった医学英語ニーズ調査の結果分析と、その分析結果に基づいたCan-doリストの作成過程については、研究代表者であった遠藤雪枝と共同研究者の高橋寛および高橋留美が、令和3年12月にオンラインで行われた19th Asia TEFL international conferenceにおいて、“Making a Can-do List for Medical English Education - A Data Analysis of a Survey of Needs on English Education among the Faculty Members of the School of Medicine in Japan”という標題で、口頭発表を行った。
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