研究課題/領域番号 |
20K00869
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
中谷 安男 法政大学, 経済学部, 教授 (90290626)
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研究分担者 |
水本 篤 関西大学, 外国語学部, 教授 (80454768)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CEFR / アカデミックライティング / 論文執筆 / ストラテジー |
研究実績の概要 |
現時点では,CEFR-Jにおいて上位Cレベルの的確な到達目標やディスクリプターは,十分に確立されていない。また同様に,このレベルのLSに関する調査も不十分であった。特に,Cレベルの英語プロダクション能力の「書くこと」に関しては,CEFRにおいてもあまり研究が進んでいない(中谷, 2017b)。 CEFRの上位レベルの書く能力には学術的なアカデミック・ライティングの執筆が求められる。日本の学術レベルの競争力を高めるには,英語の論文作成のLSが重要な要件となる。これまで十分検証されていない,これらの到達目標と具体的なストラテジーを明確にし,教育的示唆を行うことは社会的な貢献度も高いと考えられる。これまでアカデミック・ライティング分野の多くの研究は,学術論文の語彙表現や構成の分析が主である(例 Nakatani,2017a)。また,その結果に基づく指導方法の提案も行われてきた(例 中谷, 2016)。ところが,実際にCEFR上位レベルの研究者などが執筆をする際に,具体的にどのようなストラテジーを活用しているのか十分な検証は行われていない。このため,どのAWSをいかに,どのような理由で効果的に使うべきなのかは明らかにされていない。 以上の観点から初年度の成果としてアカデミックライティングにおける論文執筆のストラテジーに関する資料を広く収集し、本格的な検証を始める準備が整った。さらに、該当する分野の競争的な学術論文誌を選定し、本研究に必要なコーパスデータを収集した。これらが、CEFRのライティング技能のレベルとどのように整合性があるのか検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで資料収集や研究背景の確立は進んでいる。だが、コロナ下の影響もあり、インタビュー調査などは完全に進んでいるとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アカデミックライティングにおけるストラテジーをより精査して検証していく。またインタビュー調査などもできる限り本格化させていく。 (A) 質的インタビュー調査によるWSの抽出 国際ジャーナルに採択経験を持つ研究者を選びWSを調査する。研究代表者と分担者で自然科学、社会科学、人文科学の各分野30名に論文執筆に有効なAWSの認識についてインタビュー調査を行う。この際、自由記述でも同様の回答を得ておく。 (B) 英語学術論文におけるAWS抽出:2021年度 研究代表者は、上の90名が執筆した論文200本を収集しコーパスデータとして活用し,効果的なAWSの種類や頻度をコーパス分析ソフトで抽出する。結果の妥当性を分担者が確認する。代表者は、この結果をインタビューのコーパス分析と比較し、AWSの使用認識と実際の論文での活用を確認する。この中で両方の結果が一致したものを中心にAWSの基礎項目として選定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ下の影響で、インタビュー調査や学会発表が制限されたため。
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